指栞(ゆびしおり)

すまじきものは宮仕え。

まだ探している。

  ディスコミュージックからちょっと手を広げて1980年代の洋楽でなじみのあるナンバーをまだ探している。曲名もアーティストも曲自体も忘れているものをオムニバス形式のアルバムを聴きながらメロディーだけを頼りに見つける。見つかった曲はディスコミュージックとはまた別のリスト上に集めて行く。今日は四十曲くらい聴いて知ってる曲を五曲くらい見つけそのうち当時結構気に入ってた覚えのある二曲をリストに追加した。Kim Carnesの「Bette Davis Eyes」とAmericaの「You Can Do Magic」。労多くして得るところの少ない作業だけど未知の曲にもなかなかいい曲があったりして楽しいことは楽しい。

 今更だけど日本シリーズは予想通りホークスの四タテで終わった。セ・リーグはかなり真剣な対策を講じないとパ・リーグとの差をいかんともし難いと思うけどジャイアンツは同リーグのベイスターズからFAの三人を引き抜こうとしているとかでファンからも非難の声が上がってるようだ。ジャイアンツで唯一ホークスに拮抗できたウィーラー選手のように、補強するならパ・リーグの選手でなければ意味がないような気がするけど補強によるチーム強化で果たしてホークスの選手育成に勝ることができるかどうかは素人目にも疑わしい。日本シリーズセ・リーグパ・リーグに勝つには最低でも何年かがかかるかも知れない。

日本シリーズを観ている。

 中継があってもナイトゲームの時間帯はほぼ仕事だしデイゲームの時間帯はほぼ昼寝をしてるのでペナントレースの試合というのは観る機会がほんのたまにしかない。これは前の仕事を辞めてから大体毎年同じだ。今年は新型コロナ・ウィルスの影響でペナントレース自体が短かったということもある。だから日本シリーズ初戦のソフトバンク・ホークスの先発千賀選手はさすがに知ってたものの二戦目先発の石川選手があんなにすばらしいピッチャーであることは知らなかった。二戦目はホークスの歴史的大勝利になったけど石川選手からツーランを放ったウィーラー選手は大したものだと思う。
 Yahoo!のヘッドラインを見ると「なぜジャイアンツはホークスに歯が立たないのか」とかかなり歯に衣着せぬタイトルも見られて読むと相当おもしろい。あちこちでファンも含めていろんな人がいろんなことを言ってるのでこれに触れるととっちらかるしかないんだけど読んでるとホークスも確かに強いけどジャイアンツもぼろぼろに弱いということになりそうだ。昨年の同シリーズでホークスに四連敗して日本一を逃したのに一年間何をしてたんだという声から最低でも四戦はしなければならないのに先発投手が四人思い浮かばないとか打線は150キロ以上の速球は打てないとか全力疾走しないとか守備につくのが遅いとか球回しが適当とか負けててもベンチでへらへらするか逆に意気消沈するかでなんとかしようという気概が感じられないとか監督は打つ手なしだとかキャッチャーのリードが駄目だとか守備が草野球レベルだとかピッチャーがびびりまくってるとか本当に言われたい放題だ。そしてそのすべてがおそらく正しいような気がする。ではなぜそんな体たらくでリーグ優勝できたのかと言うと昨年以上にセ・リーグパ・リーグの実力差がついているということだと多くの人が言うし僕もまったくその通りだと思う。特にホークスはチーム内の競争が激しいために選手が常に緊張感と危機感を持っているという話は説得力がある。個人的には競争原理というのは肌に合わないしできる限りそれから離れた場所に身を置いておきたいと思うけどスポーツ選手と言うか広く勝負を生業としている人にはそれがとても大切だということはわかる。この分ではジャイアンツは昨年同様ホークスに四タテを食らう可能性が高い、と言うか素人目にもホークスが負ける要素が見つからない。強いて言えば周東選手が二試合ノーヒットということくらいで確かに周東選手が盗塁すれば盛り上がるしホークスの勝ちパターンにつながり易いかも知れないけどそれがなくても充分勝てる。ただ周東選手自身のために早く一本ヒットが出ればいいなと思ってるだけだ。明日明後日は仕事で中継が観られないけど何も心配していない。ちなみに家人も子供もダイエー時代からのホークスのファンです。

また思い出話、あるいは「Seven and the Ragged Tiger」。

あどりぶシネ倶楽部 (ビッグコミックス)

あどりぶシネ倶楽部 (ビッグコミックス)

 

  浪人してた下宿では週にひとり一冊ずつ漫画雑誌を買って計六誌か七誌をみんなで回し読みしていた。自分で書いててなんかすごく楽しそうだ。その中の一冊に「ビッグコミック・スピリッツ」があった。当時は月二回刊で池上遼一さんの「傷追い人」とか高橋留美子さんの「めぞん一刻」とか吉田戦車さんの「伝染るんです。」とか相原コージさんの「コージ苑」とかが連載されていた。「めぞん一刻」なんて展開が気になって毎号首を長くして待っていた。その他に巻頭で読み切りの短編が掲載されることがあってそのクオリティーも高かった。中でも村上もとかさんの「NAGISA」と細野不二彦さんの「あどりぶシネ倶楽部」は大好きでようやくまとまった単行本を買ったのは大学に入ってからだっただろうか。最近読み返してないけど家中探せばどこかにあるはずだと思う。思い出したら急に読みたくなった。
 後者はある大学の映画を撮るサークルのお話で中に素人バンドのミュージック・ヴィデオを撮るエピソードがあった。そのバンドのリーダーを務めるヴォーカルに対してヴィデオを監督することになった映画サークルのメンバーのひとりは初めなんとなくなじめない印象を持つ。でもあるときレコードショップでレコードを探してるところでヴォーカルと行き会い何を探しているのか尋ねられてアルバムの名前を言うとそれは自分がこの店で買ったばかりだから見つからないはずだとヴォーカルから告げられる。後日撮影の合間に監督はヴォーカルからそのアルバムを録音したカセットテープを手渡される。ヴォーカルが思ったほど嫌な奴ではないと監督が気づくシーンでふたりのほのかな友情をおそらくは引き裂く形の結末に向かって重要な役割を担っている。このときのアルバムがデュラン・デュランの「Seven and the Ragged Tiger」。一時期僕も欲しかったけど縁がなかったと言うか結局手にすることのなかったアルバムだ。デュラン・デュランについて図書館で検索するうちこの懐かしいアルバムタイトルを見つけて聴いてみたくなった。知ってる曲は「The Reflex」と「Union of the Snake」しかないのでとりあえずそれらを聴くと頭の中にあるダンス・フロアには前者より後者の方がふさわしいとわかった。なので差し替え。
 今回の曲のコレクションもこれで大体おしまいになったんじゃないかと思う。曲の追加や削除、差し替えも最後かも知れない。CD一枚に収まらない量になったので収まる分だけ焼いてCDプレイヤーに入れてランダム再生をかけると我ながら惚れ惚れする出来になっている。このよさが本当にわかってもらえるのはあの頃一緒にディスコに行った同宿の友人たちだけかも知れない。いや個人的な好みを考えるとやはり完全な自己満足に終わってるかも知れない。
 「ビッグコミック・スピリッツ」は「めぞん一刻」の連載が終わった後だったと思うけど週刊になりそのせいかどうか徐々におもしろくなくなっていつしか読むのをやめた。十代の終わりから二十代の始めにかけて割と大切にしていたものをほぼ時を同じくしてなくしてしまった。それらのある部分は取り戻すことができるし実際四十年近く経ってから取り戻したけどもちろん取り戻せないものもある。自分は本当はあの暗いダンス・フロアに立った背の高い素敵な彼女を今でも心のどこかで探してるのかも知れない、と思う。元気でいれば僕と同じく五十代半ばを過ぎてるはずだけど。

聴き方が全然違う。

 1980年代の洋楽を紹介するサイトというのも探すと結構あって親近感を禁じ得ないんだけど基本的にそういうサイトにはミュージック・ヴィデオが貼り付けてあって中にはわざわざオフィシャルと記されてるヴィデオも多いのでおそらく版権上は問題ないんだろう。アーティスト名と曲名だけを列挙するこのブログみたいのよりその場で聴くことができて便利だし親切だと思うんだけどそういう曲の聴き方というのがどうもしっくり来ない。個人的な好みを言うとヴィジュアルは必ずしも必要ではない、と言うかむしろない方がいい。たとえばデュラン・デュランの曲は好きで聴くけど映像とセットでしか聴けないとしたらそれを観ながらなんだこいつら(表情とか体の動きとか服装とか)気持ち悪いなとか思いかねない感受性が自分にはある。(だからデュラン・デュランのメンバーの顔なんてひとりも知らない。)この前もローラ・ブラニガンのミュージック・ヴィデオを観たら本人がくねくね踊りながら歌っていてなんて言うかすごい違和感があった。言い換えれば自分にとって楽曲というのはニュートラルでクリーンなものであって過剰な身体性は必要ない。(ただし声や息づかいなどに表れる身体性はとても大切なものだと考えている。)もちろんマイケル・ジャクソンの「スリラー」みたいに手間もお金もたっぷりかけて作り込まれたヴィデオならすごいなこれとか素直に感心したりもできるし実際あれは観ていてすごく楽しいけどそれはまた別の話で、歌ったり演奏したりしてるところをただ漫然と撮っただけのヴィデオの意義はよくわからないと言えばよくわからない。誤解のないように言っておくと別にミュージック・ヴィデオを貼り付けたサイトについてとやかく言ってる訳では全然ない。僕のような変なこだわりを持たなければそれらはとても便利で楽しいものだろうと思っている。
 ところで少し前に古い歌謡曲を塾の空き時間にCDプレイヤーでかけていたらそれを耳にした子供がうちで矢沢永吉さんの「時間よ止まれ」を歌っていたと家人が言う。そんなに気に入ったんならと思って携帯音楽プレイヤーに入れられるようにCDを貸そうかと子供に尋ねるともう持ってるからいいと答える。スマホに直接ダウンロードして聴いてるんだそうだ。聴き方が全然違う。

あの頃のいちばんの出来事。

どくとるマンボウ青春記 (新潮文庫)

どくとるマンボウ青春記 (新潮文庫)

  • 作者:杜夫, 北
  • 発売日: 2000/09/28
  • メディア: 文庫
 

  高校のときの愛読書が北杜夫さんの「どくとるマンボウ青春記」だった。中に太陽党(ドイツ語で「ゾンネン・パルタイ」と言うと書いてあったと思う。)という考え方が出てきてこれは個人的に女性を排して男性だけで生きて行くということだった記憶がある。今ならいろいろ差し障りのある考え方に思えるけどまあ古い本に書いてあったことだからご勘弁を。ちなみにこの本の紹介を少しすると旧制松本高校(今の信州大学かと思う。)で寮生活を送る(後にひとり暮らしに移ったような気もする。)筆者自身を回想したエッセイ集で筆者もその他の学生たちも個性的で奇妙な人たちばかりだけどその裏には自分たちはなんと言っても知性に仕えているのだという矜持がありそれが高校生の自分の目にはひどく魅力的に映った。今なら若干問題を感じないでもないけど僕も男子高に通っていたしそういう魅力的な生活を送る旧制高校生に自分を重ね合わせるのも自然な成り行きだったように思う。彼らと同様日常で同年代(あるいは少し年上とかでもよかったかも知れないけど。)の女の子と触れる機会というのはこれはまあ皆無で文化祭などには割にたくさん女の子が来てイベントなどで盛り上がった覚えはあるけどそれはその場限りのことで中にはそういうのをきっかけに彼女ができる友人もいたけど僕や親しい友だちとは縁の無い話だった。だから自分もゾンネン・パルタイとして生きて行こうといつの頃からか思い決めるようになり将来的にも結婚などすることなくなんかこう仙人めいた暮らしをして行くことになるんだろうなとぼんやり考えた。理想の女性は「赤毛のアン」のアン・シャーリーで彼女を胸に秘めてるだけで満足だった。そうして高校を卒業して浪人生として上京してきた。ところが。
 今もあるのかも知れないけど当時のディスコにはチーク・タイムというのがありこのときだけはダンス・ナンバーではなくバラードなんかが流れ薄暗いフロアはより暗くなってペアの男女が抱き合って静かに踊る。チーク・タイムという名の通り頬と頬を寄せ合うペアもいる。もちろん僕らには相手がいないのでダンス・フロアを離れてバー・カウンターとか椅子とかに座って何か飲んだり食べたりしながら指をくわえて、という感じでチーク・タイム明けを待つ。ところがあるとき僕らと人数がぴったり同じ女の子だけのグループがいてそういうのに慣れたひとりが声をかけて仲良くなった。新宿にある専門学校に通う女の子たちでほぼ同い年だった。僕はとにかく女の子と話したこともないし話し方もわからなかったので全部で十人くらいで集まった席で誰かと誰かが話すのに耳を傾けていただけだったんじゃないかと思う。すると音楽が急にトーンダウンしてチーク・タイムが始まった。それでじゃあみんなでチークを踊ろうということになって近くに座った者どうしで即席のペアを組んでフロアに出た。今から思うとちょっと不思議なんだけどたぶん女の子たちの誰もそれをいやがらなかったんだと思う。ここではっきり覚えているのは僕とペアを組んだ女の子がとてもかわいい子だったということだ。あまり口をきかずおとなしかったけど顔立ちが整っていて立ち上がると思いがけず背が高くすらっとしていた。特に華美な服装ではなかったけどさっぱりしていて好感が持てた。僕たちは向かい合って互いの腰のあたりに両手を回しリズムに合わせてぎこちなく体を揺すった。話をした記憶はないけど彼女の身長が168センチだということを覚えてるので何かは話したのかも知れない。このとき僕はゾンネン・パルタイなんて場所に自分を置き続けることはできないと心の深いところで思った。自分はこの向かい合って踊る素敵な女の子に惹かれないでいることはできない。彼女に惹かれるのはすでにどこかで決められたことだし自分は彼女に惹かれるようにつくられているしそれに抗うことはできないんだと心の底から思い知った。それがディスコで受けたいちばんの衝撃だった。
 でも現実的に彼女に対してできることはそれ以上何もなかった。どういう成り行きだったか覚えてないけど特に連絡先を交換することもなく(そんなこと思いつきもしなかったと思う。)その夜は帰って来てそれ以来彼女には会ったことがない。ただ後から思うと大切だったのは彼女個人ではなく彼女がその一部である女の子全体に対して自分が肯定的になれたことだと思う。そのディスコの一件がなくともいつかどこかで僕はきっかけとなる女の子に出会っていずれにしてもゾンネン・パルタイを手放すことになっただろう。でもそれがあのおとなしくてきれいで背の高い彼女であったことはとても大切な思い出になっている。今でもときどき彼女のことを、と言うか見かけとかはすべて忘れてしまったので後に残った彼女の気配のようなものを、それから彼女が僕に手渡してくれたとても甘美なめまいのようなものを懐かしく思い出す。

(僕が持ってるのはたぶん中公文庫版です。この表紙にはまったく見覚えがない。)

め組のひと。

め組のひと

め組のひと

  • 発売日: 2019/10/01
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

  一度だけ六本木のディスコに行って女装した大男のダンサーからほっぺたにキスされたことがある他は普段は新宿のディスコに通っていた。ほとんど洋楽しかかからなかったけど一曲だけ邦楽がかかることがありそれがラッツ・アンド・スター(表記が間違ってたらごめんなさい。)の「め組のひと」だった。1983年当時ディスコでかかるこの曲で踊ったことのある方いらっしゃいますか?これが結構踊りやすくてはまる。フロアも盛り上がる。今回のダンスナンバーコレクションもそろそろおしまいを迎えそうなので仕上げにこの曲を入れようかと考えている。

トンプソン・ツインズとローラ・ブラニガン、プリンス、それにマイケル・ジャクソン。

 

ベスト・オブ・トンプソン・ツインズ

ベスト・オブ・トンプソン・ツインズ

 
The Best of Laura Branigan

The Best of Laura Branigan

  • アーティスト:Branigan, Laura
  • 発売日: 1995/06/02
  • メディア: CD
 

 トンプソン・ツインズは「Lies」と「Hold Me Now」が欲しくて、ローラ・ブラニガンは「Self Control」を聴いたら「Gloria」という曲があったことを思い出してそれが欲しくなって、それぞれベスト盤を図書館で借りて来た。前者は全部で十九曲入ってるのでまだだけど後者は十曲だったのでひと通り聴いてみた。残念ながら欲しかった二曲以外は知らなかった。ちなみにこの二枚は最後の曲が前者が「Tokyo」、後者が「Tokio」というタイトルだ。単なる偶然だけど。プリンスを初めて知ったのはディスコで聴いた「1999」という曲だった。これものっけからスーパーハイテンションで一度聴いただけで完全に持って行かれた。同宿の友人たちによると「メリハリがない」ということで不評だったけど後から調べたら一応アルバムのタイトル曲だったし本人的にもそれなりに手応えがあったんじゃないかと思う。僕は割に心の底から好きだ。後年映画「バットマン」の音楽を手がけたときもそのメインテーマの前奏のテンションの高さに驚かされたけどそれもやはり個人的にはすごくよかった。今は図書館にベスト盤をリクエストしてるので届くのが楽しみ。ちなみに東京ドームで行われた来日公演に大学の同じクラスの友だち七、八人で行ったことがある。後におつきあいすることになる女の子が誘ってくれたような気がする。1984年か85年のことじゃないかと思う。でもこの公演は本当にひどくてなんとアンコールがかからなかった。それさえなければプリンスというアーティストには好感しかなかったはずなんだけど本当に残念だ。それから今回のディスコ・コレクションにはマイケル・ジャクソンが入ってない。頭の中の薄暗いディスコのフロアからは「ビリー・ジーン」も「スターティング・サムシング」も「ビート・イット」も「スリラー」も聞こえてくるんだけどさすがにメジャー過ぎる気がする。マドンナがよくてマイケルがだめってどういうことと我ながら思うんだけどこれはもう誰に向かってもうまく説明することができない。とにかくマイケルはいらない。(あるいはマドンナは「Like a Virgin」の大ブレイク以前から知っていたので許せるのかも知れない。)
 という訳で新たにコレクションに加わったのは以下のナンバー。Yesの「Owner of a Lonely Heart」、ABCの「The Look of Love」、Princeの「1999」、Laura Braniganの「Gloria」。Duran Duranは結局「The Reflex」を入れることにし、訳あってSyndi Lawperの「Girls Just Want to Have Fun」ははずした。何かをはずすことはこれからもあるかも知れない。

薄暗いディスコのフロア。

 それは実際に何度も目にしたことのあるシーンに違いないんだけどおそらくはすでに実際の輪郭みたいなものは時間と共に融解し果ててぼんやりとしていながらものすごく強い磁力を持ったイメージとして頭のどこかに残っている。それはまた大音響の音楽の記憶とも結びついている。大声でなければ会話が成り立たないくらいの大音響の音楽。そこにいろいろな曲を当てはめるとうまく当てはまる曲とそうでない曲とに分かれることがわかる。当てはまるのは実際にそこで耳にしたことがある曲だ。例えばWham!の「Last Christmas」はものすごく好きな曲だしとてもダンサブルだと思うけどその薄暗いディスコのイメージには合わない。僕が初めてその曲を耳にしたのはクリスマスの買い物に出かけた吉祥寺のパルコの中の、あるショウウィンドウの前だ。ものすごくいい曲だな誰の曲なんだろうと思った記憶があるけどこの曲は1986年のリリースなのですでに行かなくなっていたディスコで聴いた訳がない。だから僕の持つイメージには当てはまらない。Madonnaの「Like a Virgin」もBananaramaの「I Heard a Rumour」も同じだ。すごくダンサブルだけど僕の持つ大切なイメージには合わない。
 イメージに当てはまる曲には共通点がある。それは前奏を聴くだけで心のどこかがわくわくしてくるという点だ。それはこれから始まるとんでもない快楽への期待を思い起こさせる。大音響の音楽のリズムに合わせて体を動かすことはものすごく気持ちのよい体験だった。それはディスコでしか味わったことのない体験だ。日常の中でそれほど大きなボリュームの音楽を聴くことなんてできないしまたそのボリュームが呼び起こす陶酔感なしには踊ることなんてできない。それは本当に特別で貴重な体験だった。
 頭の中に今もあるその薄暗いディスコのフロアに合う曲をひとつひとつ探し当てている。その秘やかなわくわくを保存してくれている曲を。Madonnaは「Holiday」、Wham!は「Bad Boys」、David Bowieは「Let's Dance」、Earth, Wind & Fireは「Fall in Love with Me」、Hall & Oatesは「Private Eyes」、Donna Summerは「On the Radio」、Syndi Lawperは「Girls Just Want to Have Fun」に決めて、Duran Duranはまだ迷っている。あとKajagoogooの「Too Shy」とThompson Twinsの「Lies」も加えた。Thompson Twinsは曲としては「Hold Me Now」の方が好きだけど個人的なディスコ感は「Lies」の方が勝っている。旅はもう少し続きそうだ。

SSL化。

 ウェブサイトのSSL化についてはここ何年か気になってはいた。おそらくサーバをレンタルしてる会社のサイトを調べればやり方がわかるんじゃないかという気がしたけど若い頃はいくらでも調べてCGIの設置やカスタマイズ、アクセス制限とか試してうまく行ったときの達成感に浸ることができたけどこの頃そうした作業が億劫でしょうがない。それで先延ばししてたら最近そのレンタル・サーバの会社からメールが来てSSL化について解説したURLを知らせてきた。そうなるとやらなくてはともともと思ってたこともあるしちょっと見てみようかという気になる。詳しいことはよくわからないんだけどとにかく簡単にできるということでやってみたらすぐにできてしまった。ただ従来の「http://」とSSL化された「https://」のどちらもが閲覧できるので必要なら前者へのアクセスを後者に誘導するためにリダイレクトを使えとある。リダイレクトについても別のところに解説があると言うのでそれを見るとこの前(と言っても調べたら一年以上経ってるんだけど。)パソコンによるアクセスとスマホによるアクセスを見分けてそれぞれ別のサイトへ自動で誘導するために使った.htaccessというファイルに数行のスクリプトを書けばいいことがわかった。参考例としてそのスクリプトも掲載されている。でも「https:」へ誘導するスクリプトと、パソコンとスマホを分岐するスクリプトの関係がよくわからない。それで.htaccessについて専門に解説してるサイトを見つけて調べるとウェブサーバ全体が落ちる危険があるので.htaccessの運用には細心の注意を払えとある一方で複数のスクリプトを合わせて書き込んでも結構うまく行く場合もあるとアバウトなことも書いてある。それで試しに「https://」へ誘導するスクリプトの後にパソコンとスマホを分岐させるスクリプトを書いてアップしてみたらあっけなく成功。「保護されていません」の警告が出なくなって本当にすっきりした。なんでもやってみなければ。

Madonnaのファースト・アルバムを買う。

バーニング・アップ(紙ジャケット仕様)

バーニング・アップ(紙ジャケット仕様)

  • アーティスト:マドンナ
  • 発売日: 2016/02/03
  • メディア: CD
 

 今更ながらMadonnaのファースト・アルバム「Madonna」(邦題は異なっている。)のCDを買うことにした。マドンナ(以下打ちづらいのでカタカナ表記)のアルバムは若い頃三作目までカセット・テープで持っていてどれも結構よく聴いた。収録曲を調べたら好きな曲がたくさんあってマドンナに関してはベスト盤ではなくオリジナルのアルバムを集めたくなった訳だ。二作目の「Like a Virgin」は図書館にあったので借りることにして三作目の「True Blue」は図書館にないのでどうしようか考えている。
 初めアマゾンのダウンロードで買おうと思ってたんだけど900円する。37年前のアルバムにしては高いような気がする。それにひとつ気になったのがジャケットの写真で、すごく印象的なのでそれも手に入れたいと思った。なので中古のCDを探してブックオフ・オンラインで買った。店頭で受け取ると送料もかからないということなので最寄りのブックオフを指定。多少時間はかかるみたいだけど全然構わない。届くのがとても楽しみ。このコレクションを始めてから本当に毎日楽しい。これほど楽しいことに三十年以上背を向けて来たことに我ながら驚いている。

また二曲追加、さらにプラスアルファ。

アブラカダブラ

アブラカダブラ

  • 発売日: 2004/09/01
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

Do Ya Wanna Funk

Do Ya Wanna Funk

  • 発売日: 2013/06/04
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

  1980年代のヒット曲を集めたオムニバス・アルバムを立て続けに聴くとそれには収録されていない、でもすごく気に入っていた曲を思い出す。上もそうした曲のうちのふたつ。どちらもカセットなどで持ってた記憶はないけどすみずみまですごくよく覚えている。もちろんいったんは図書館で探したけどどちらも見つからなかった。それでアマゾンで購入。両方とも250円。ウィキペディアで調べると当時は大ヒットしたらしいのでそれほどマイナーな曲とは言えないみたいだけど(本当はマイナーな方がいいんだけど。)個人的に偏愛する曲ではあるのでよしとする。

 図書館で手に入る曲は図書館で手に入れるし以前CDで買って持ってる曲はいったんパソコンに取り込んでリストに加えている。前者はEurysmicsの「Sweet Dreams」(初めて聴いたときからものすごく好きだ。)とかEddy Grantというほとんど知らないアーティストの「Electric Avenue」(タイトルの意味はよくわからない。)とか。後者の例は前にも触れたThomas Dolbyの「She Blinded Me with Science」とFreeezeの「I.O.U.」。いずれもアマゾンで買ったら海外から送られて来た覚えがある。結構時間がかかった。

 悩むのは誰でも知ってるビッグ・アーティストの、当時ディスコでよく聴いた曲をどうするかということ。今頭を悩ませてるのはWham!Duran DuranMadonnaとDonna Summer、David BowieCulture Clubは何曲か聴いたけどどれひとつ好きじゃないことがわかってはずすことに決めた。Madonnaはセカンド・アルバムの「Like a Virgin」が大ヒットしたときにはすでにディスコから足を洗ってたのでファースト・アルバムから選べば条件を満たしそうだな、とか。映画「フラッシュ・ダンス」の主題歌だった「What a Feeling」も大好きで随分踊ったけど今聴くと完全に聴き飽きてるし何より「スチュワーデス物語」の残像がしみついててやだな、とか。そんなことをあれこれ考えているのもとても楽しい。ところで図書館でWham!のベスト盤を借りたら「Freedom」とか「Last Christmas」とか全部で四曲しか知ってるのがなくてそんなものかなと思ってたらよく調べたらこのアルバムには「Careless Whisper」も「Bad Boys」も収録されてなくてそんなんでベストって言うなと思ったり。とか誰に向かってかわからない経過報告。

二曲追加。

Let's Get Started

Let's Get Started

  • 発売日: 2020/10/09
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

  前回触れた二曲を手に入れたことでひとつ方針が定まった。それはあの頃他のメディアでは聴いたことがなくディスコでだけ聴けた曲を集めることだ。この「Let's Get Started」も本当によく聴きたぶん踊った曲だと思うけどディスコを後にしてから耳にしたことがなかった。それでもはっきり覚えていて折に触れて思い出してはそういえばそういう曲もあったなと懐かしさに浸っていた。この曲も前回触れたディスコ・ナンバーのオムニバス・アルバムに収録されていたけどやはり短くカットされていてどうしてもオリジナルが欲しくなった。ただおかげでミュージシャンがVoyageという名前だということがわかってよかった。アマゾンで検索しやすくなったからだ。発売日が今月の9日ということだけど本当なんだろうか。だとしたらタイミングがよすぎる気もする。250円。

 その方針にもうひとつこだわりを込めるとすればなるべくメジャーなアーティストを避けたいということになるんだけどそうするとこのあたりでコレクションが終わってしまいそうだ。だからメジャーでもディスコでよく聴いた曲は含めてよいことにした。そこでHuman Leagueの「(Keep Feeling) Fascination」を四曲目にした。これは図書館で借りたCDの一枚に収録されてて持ってる。同じライン上でもう何曲か集めたいものを頭に置いている。全部集めてCD一枚くらいの曲数にするのが目標。すごく楽しい。

突然欲しくなった曲。

Close Your Eyes (Remix)

Close Your Eyes (Remix)

  • 発売日: 2013/01/28
  • メディア: MP3 ダウンロード
 
So Many Men, So Little Time

So Many Men, So Little Time

  • 発売日: 2006/01/01
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 80年代の曲を渉猟してるうちにディスコでよく聴いていて今もまだ耳に残っているいくつかの曲が突然どうしても欲しくなった。上に掲げた二曲のうち「Close Your Eyes」はアマゾンで検索するとよくあるタイトルのせいか長渕剛さんのものを筆頭に何曲もヒットする。アーティスト名がわからないのでその中から視聴できるものは視聴してこのQueen Samanthaの曲にたどり着いた。図書館で検索するとこの曲を収録したアルバムがひとつだけ見つかったので喜んで借りて来た。ところがこれはディスコ・ミュージックばかり集めたオムニバス盤で曲と曲の間がまったく途切れないようにリズム・セクションが鳴り続けるアレンジが施されてる他一曲あたりの収録時間もかなり短い。それでも37年ぶりに聴けて本当にうれしかったんだけどやはりオリジナルのものが聴きたかった。後者もアマゾンで検索して見つけたんだけどこちらは図書館ではヒットしなかった。というわけでアマゾンのダウンロードで購入。前者が100円で後者は200円。どちらも当時のディスコでは頻繁にかかってたんだけどテレビやラジオでは一度も聴いたことがなく結構マイナーな曲なんじゃないかと思う。でもすごくいい。こういう、耳には残ってるけどあまり目にしない曲をしばらく探してみようと思う。

手を広げる。

 

  ディスコに通っていた時期は短い。1983年の春から半年くらいだ。その年は浪人二年目で六部屋あるまかない付きの下宿に前年から住んでいた。四畳半が階下にふた部屋階上に四部屋でお手洗いは共同で風呂はなかった。各部屋のドアに簡単な鍵はかかるけど要するに一つ屋根の下という状況で他の部屋の住人は全員大学浪人で同じ穴のムジナと言うか仲が良かった。そのうちのふたりにディスコに行く習慣があり誘われてついて行ったのがきっかけだった。もちろん初めはうまくなんて踊れなかったけど少し踊れるようになると大音響の中リズムに乗って踊るのは本当に楽しかった。これはディスコでしか味わえない楽しさだと今でも思う。ほんの少しのリズム感さえあればいい。最近初めは歌謡曲だったけどだんだん洋楽に移って行った古い曲の聴き直しの中でその頃踊った曲、それから音のクリアなFM放送をラジカセに録音して何度も聴いた曲をある程度まとめて聴き直したいと思うようになった。それで図書館のサイトで検索してるうちに上に掲げたおあつらえ向きの二タイトルを見つけて借りた。タイトルを眺めるだけでわくわくしてくる。Cyndi Lauperの「Girls Just Want to Have Fun」。出だしから超ハイテンションでこれほど元気が出る曲は他にない。Michael Jacksonの「Billy Jean」。今聴くと情報量がすごく多いことがわかる。リズムの厚みがすごくてそれがあの「Thriller」というアルバムの魅力だったんだな、新鮮に聞こえたんだなと思う。マイナーな曲だって収録されてる。Deniece Williamsの「Let's Hear It for the Boy」。これらのCDを聴くまでこんな曲があることも忘れていたけどしっかり耳に残っていたし今聴いてもすごく楽しい。Matthew Wilderの「Brake My Stride」は英米の新譜ばかり流すNHK-FMの地味な音楽番組でRomanticsの「Talking in Your Sleep」と同じ日に録音したんだと思う。前者が終わると耳の中で無意識に後者のイントロが立ち上がる。前者は「思い出のステップ」という邦題でまずまずヒットした記憶があるけどRomanticsの方はどうだったんだろう。ロング・バージョンがリリースされてたような気もするけど。でも二曲ともとてもいい。それからTeri Desarioの「Overnight Success」。これは日本でだけヒットした曲だったと思う。SONYのすごく印象的なCMのBGMに使われていたからだ。でも検索してみると当時の曲を集めたオムニバス・アルバムにはこの曲を収録してるものが結構見受けられる。確かにキャッチーでかわいらしい曲だと思う。

 ディスコに行かなくなったのは下宿の全員が大学に受かって別々に暮らし始めたからだ。それ以来誰とも会ってない。大学の友だちは誰もディスコになんて興味がなくてひとりで行くのもなんだか変で行かなくなってしまった。このディスコ時代にはもうひとつ自分なりの大きな事件があったんだけどそれについてはまた。

  Men at Workと、Queenの「Radio Ga Ga」。

Super Hits

Super Hits

  • アーティスト:Men at Work
  • 発売日: 2000/08/22
  • メディア: CD
 

 Men at Workのことを書いたら懐かしくなったので図書館で検索したベスト盤を借りて来て聴いた。ところが収められた十曲中実に三曲しか知らなくてそれも特にくり返し聴きたい感じでもない曲ばっかりだったので我ながら半分驚き半分あきれた。ただすごく個性的なバンドだとは思う。うまく言えないけどこんなつるつるした丸っこい曲なんて他の誰にも書けない気がする。
 それから持ってるベスト盤に「Radio Ga Ga」が入ってないのでQueenの二枚組のベストも借りた。するとその一枚目は持ってるのと同じだった。そしてベストの二枚目は収められた十何曲中知ってるのは「Radio Ga Ga」だけ。こりゃもうファンとも言えない気がする。あと一曲「手を取り合って」も欲しい。今度探そう。