指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

何もする必要のない日。

 奨学金の件が進学届まで片付いたので大学側から最後の書類をもらうまでとりあえずやることがない。月末が近づくので生徒さんたちに受講料の請求を始めるけどその準備も終わった。午前中に教室に行っても特に火急の用はない。教材費をエクセルにまとめたりしながら昨日借りたアルバムを聴く。思いついてゴールデン・ウィークに講習会をやろうと申込用紙をつくる。と言っても前につくったものの年度や日付を変えるだけなのでものの数分でできてしまう。本当に久しぶりに何もする必要のない日だ。ただ音楽だけが流れて行く。
 行きつけのスーパーの道を挟んだ向かい側にペットショップがあってたまにのぞきに行く。今は犬はいなくて猫が二匹だけ一匹はシャム猫でもう一匹はよくわからない。毛並みがちょっと変わっていて白と黒のまだらでところどころ毛がつんつん突き出ている。黒ごまをまぶした白いお餅かお団子みたいにみえるので家人と僕はごまだんごと呼んでいる。ここはケージに入れてしばらくしてから種類と価格を記したプレートがつけられるので今からその日が楽しみだ。気の毒な立ち耳のスコティッシュ・フォールドじゃないかと家人は予想している。
 スーパーで買い物して帰ると一応すべてのパッケージをアルコール入りのウェットティッシュで拭くようにしている。もう三ヶ月くらいやってるんじゃないかと思う。僕がそういうことを割に気にする方なので初めはそこまでやることないんじゃないのと家人に言われるかなとも思ったんだけどやり始めたら家人も賛成してくれて今日まで続いている。例によってこういう仕事をやらせたら念入りで丁寧だ。それだけで十分くらいかかる日もある。だから家に帰って着替えて消毒してアテのために納豆をかき混ぜてシャワーを浴びて食事するまでに長いと三十分くらいかかってしまう。でもまあそれが僕なりの丁寧な暮らし方なので仕方ない。もちろんそんなことしなくて済む日が来ることを待ち望んでいる。

持ってた、これ。

 午前中は教材を買いにまた神保町。だいぶ気温が上がったので「1973年のピンボール」のTシャツを着て行く。とても気持ちいい。御茶ノ水駅から神保町へ下って行く途中で念のためサブウェイをのぞくと今日は営業していたので帰りに買うことに決める。教材を買った後はそのまままたお茶の水へ上って行く。途中明治大学のベンチでひと休み。木陰は今日も風が心地いい。サブウェイで昼食を買い電車に乗って駅前で買い物をして帰宅。汗をかいたのでシャワーを浴びてから家人と一杯やって昼食。サブウェイが優れてるのは食事にも酒のアテにもなるところだ。昼寝しようとしたら近所の工事の音がうるさくてあまり眠れなかった。だから今とても眠い。体験があったのでちょっと緊張して授業した後生徒さんがひとりお休みということで午後五時過ぎから二時間弱時間が空いてしまった。それで届いたと知らせのあったCDを最寄りの図書館まで借りに行く。通り過ぎる公園の木々が風に揺れて夕方も本当に気持ちいい。でもこんないい季節もそう長くは続かないだろう。いずれまた夏がやって来てしまう。CDを借りると一旦帰宅してパソコンに取り込む。うちに帰ったのはWiFiがあるとアルバム名や収録曲のタイトルといったデータをソフトが自動でダウンロードしてくれて便利だからだ。終わると教室に戻って取り込んだばかりの曲を聴きながらこれを書き始める。アルバムのタイトルは桑田佳祐さんの「Keisuke Kuwata」。見たことも聞いたこともないと昨日書いたばかりだけどいざ聴いてみると一曲目から全部知ってて驚いた。1988年のリリースということで僕は大学五年生だったから買わなかったとしてもレンタルしてカセットで聴いてた可能性は充分にある。つかもう絶対そうに違いない。でも全然覚えてなかった。我ながら恐い。収録曲は「フロム イエスタデイ」と結構かぶってるけどそっちには名曲が勢揃いしてるのでCDを買っとこうと思ったんだという気がする。ただ「遠い街角」は入ってなくてそこは盲点だった。今回ユニクロのCMに使われなければずっと忘れたままだったかも知れない。
 今日のもうひとつのトピックはついについについにJASSOへの進学届の打ち込みが終わったこと。明日が締め切りなので今日中にはやっておこうと思ってたら朝の早い時間帯が空いたので書類を塾まで取りに行き家にとって返してサイトにログインして打ち込みを始めた。書類の名は「進学届入力下書き用紙」というもので実に20ページを超える。世が世ならこれは下書き用紙でなく「進学届」という名でこれに書き込んで捺印して郵送でもすればそれで話が済んじゃったんだと思う。それをわざわざ下書きさせてからサイトに打ち込ませるという二度手間。その割に書類によっては提出しなきゃいけないものもあってデジタルなんだかアナログなんだか全然わからん。つかこれじゃあアナログだけの方がまだましなんじゃないかと思う。でもいいんです、もういいんです、別に愚痴ってる訳じゃありません、愚痴に聞こえてたとしたら謝ります、もう終わったんだからいいんです。打ち込み中明らかに血圧が上がったし心にも体にもすごく負担のかかる体験をたっぷり一時間以上しなきゃならずへとへとに疲れ果てましたけど終わったからもういいんです。大体ほんとは本人がしなきゃならないことを親が肩代わりしてる時点で間違ってるのはこっちですから。
 水曜日子供は朝早くからバイトに行き途中で抜け出して大学へ行き帰って来てまたバイトに入るというハードな一日を送っている。でも家人に大学は楽しいと言ったそうだ。大きなスタートをやっと切ることができて本当によかったと思う。

KEISUKE KUWATA

KEISUKE KUWATA

  • アーティスト:桑田佳祐
  • 発売日: 2001/06/25
  • メディア: CD
 

遠い街角。

遠い街角(The wanderin' street)

遠い街角(The wanderin' street)

  • 発売日: 2019/12/20
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 LGBTを連想させる若い女の子のペアが一緒に暮らす中でのいくつかの場面をつづったユニクロのCMを最近よく見かける。CMもここまで来たかと驚くべきなんだろうと一方で思いながらむしろふたりのその自然なあり方に個人的にはほとんど違和感を抱かずに見てることに気づかされる。それはLGBTに偏見を抱くべきではないという押しつけられた倫理観から来てると言うより描き方、語り口の秀逸さによってるという気がする。つまりそれは相当考え込まれた構図をこんな風にぱぱっとつなぎ合わせることによって初めて達成される自然さと言うか無理のなさのように思われる。不快感などみじんもない。むしろこのふたりがいつまでも幸せに暮らせたらいいなあという思いすら抱かされる。一方他の企業のもので実際にLGBTに属すると思われる人たちに正面から語らせるCMも見かける。まっすぐで切実なんだろうけどやはりちょっと重い。作品としてもまたLGBTという課題を扱う手並みの見事さという点でもユニクロのCMの方がはるかに優れているように思われる。重く語れば人の心に響くかと言えば必ずしもそうではない。逆に軽やかな語り口でごく自然に人の心の中に何かを忍び込ませる方が有効という場合もありうる。偏見に抗いたいという意図があるなら尚更だしそういう意図がないにしてもそのさりげなさが作品を受け入れやすいものにすると思う。
 でも今日の本題はそれではなくて、つかいつもの通り本題なんて特にないんだけどそのユニクロのBGMが桑田佳祐さんの「遠い街角」だということに触れたかった。このCMの軽やかな印象をつくり出すのに明らかに一役買っている。個人的にはとてもよく聴いた覚えのある曲だ。でもいつどこでそんなに聴いていたのかがわからない。桑田さんのベスト「フロム イエスタデイ」に入ってたかと思ってCDを取り出してみると収録されてない。検索すると見たことも聞いた(聴いた)こともないアルバムに入ってるみたいだ。さらに図書館で検索するとヒットしたのでリクエスト。誰にも借りられてないみたいなので割とすぐに手に入ると思う。うれしいけどいつどこでそんなにしっかり聴き込んだのかという疑問はもう解けることがないかも知れない。年をとるとどうしてもそういうことをはっきりさせたくなるみたいだ。それで自分史とか書きたくなるのかな。さすがにそれはしたいとは思わないけど。

訳あって。

 訳あってこれからしばらくまたできるだけ毎日ブログを書こうと思うのでよろしくお願いします。
 塾の前に人影が映り看板からちらしを持ってったなと思ったら三十分後に電話がかかって来て授業についていろいろかなり突っ込んだ質問を受けた。それで水曜日に体験授業をすることになった。こんな風にテンポよく話が進むのも本当に久しぶりだ。小一の生徒さん。うまく行けば相当長いつきあいになるかも知れない。

何を食べよう。

 用があって三省堂書店の神保町本店へ。御茶ノ水駅は僕にとっていつまで経っても特別な駅だ。さだまさしさんの「檸檬」の舞台になった駅だから。それもあるけど高二のとき駿台予備校の夏期講習を受けに親友のSSと一緒に初めて降り立った駅だからだ。それから高校を出た後彼と共に二年間の予備校生活を過ごした街だからだ。四十年近くが経つ今も何ひとつ変わってないように見える。もちろん明治大学の校舎は立派に建て直されたし以前はなかったカラオケ屋が建ったりコンビニができたり細かく言えばいろいろ変化はある。でも御茶ノ水駅から神保町へ下って行く道は基本的に昔のままのような気がする。楽器屋とカレー屋が軒を連ねている。「リーパス」というタイトルのジュブナイル向けの懐かしい読み物の本を安く買った古本屋もそのままある。大きなスポーツ用品店もずっとそのままだ。そして坂を下りきった先にある三省堂書店。よく見ると建物も相当古びている。僕らが予備校に通ってた頃はなぜか営業をしてなかった記憶がある。個人的には書泉グランデと古本屋街の方がなじみが深い。用を済ませてまた坂をお茶の水まで上がって行き左側のファミマの中にあるサブウェイで昼食を買って帰ろうと思ったら営業時間内なのになぜかサブウェイの店舗が閉まっていた。さあ困った。家人がすずらん通りの方にリトル・マーメイドがあったと言うのでそれじゃそこでお気に入りのサンドイッチを買って帰ろうということになってまた長い坂をゆるゆる下りて行く。でもリトル・マーメイドにはお目当てのパンはなくて狭い店内を一周しただけで外に出た。さて何を食べよう。ごま油のいいにおいのする天ぷら屋がある。いつも行列ができていたキッチン南海の跡地は駐車場になっている。ガストがやってる唐揚げ屋がある。その唐揚げ弁当の値段を見てるうちさっき通り過ぎた天ぷら屋のテイクアウトの天丼弁当がすごくリーズナブルに思えたのでそれが食べたいと言うと家人もそれでいいと言うのでまた道を引き返して買ってから荷物も重いしもうお茶の水まで上って行くのが億劫に思えたのでそのまま神保町駅の方へ通りを抜けて行く。途中のドラッグ・ストアに入るといつも飲んでる缶酎ハイが割に安かったので買って長い階段を下りて神保町の駅から地下鉄に乗った。最寄りの駅まで帰って来ると駅前で少しだけアテを買い帰宅する前に荷物を置きに僕だけ塾に寄るとバイトを終えた子供がいる。これから友だちとラーメンを食べに行くと言うのでそこに残して帰り例によってふたりで一杯やってから天丼を食べて昼寝。風がすごく気持ちのいい半日だった。

通学定期はめっちゃ安い。

 大学までの電車賃が往復千三百円ちょっとかかるんだけど週なん日通うかまだわからないので定期を買うかどうか家族で迷っていたところ調べたら学割の定期だと30日分で換算すると一日往復二百円弱という安さで買うことができるとわかった。すごいな学割。なので速攻買わせた。新型コロナの成り行きもよくわからないのでとりあえず一ヶ月分のみ。初めは結構対面授業があるみたいな話だったけどこれからはどうなるかわからないから。ちなみに僕は大学なんて全然行かなかったので定期券など買ったことがなく従ってそんなに安いとは少しも知らなかった。勝手ながら子供にはまともな大学生であって欲しい。じゃないと奨学金も止まるし。ちなみに奨学金の申請もいよいよ大詰めでうまく行けば来月中頃に一回目が下りることになる。うれしい。

投函。

 奨学金のために大学に提出する書類がすべて揃ったので推奨されているレターパックに入れて投函した。必着とされてる日までまだ何日かあるのでおそらく間に合うと思う。データがアップされたら追跡したい。やっとここまで来た感がすごい。残る手続きはあとひとつなので大学側からリアクションのある日を首を長くして待つことになる。いつの場合でもそうだけどお金を借りるというのは本当に大変だ。

忘れていたこと。

 子供の入学式も済み学生証も交付になったのでいよいよ重い腰を上げて奨学金の申請をすることにした。つか申請というのは正確には正しくなくて大学に入れば奨学金がもらえることは昨年審査が済んですでに決まっていた。その決定通知を大学に提出するとIDとパスワード(かなんかそれに類いするもの)がもらえてそれを使って今度はJASSOにウェブ経由で本当に大学に受かったことを報告する。するとやっと奨学金が下りる。最初に書類をもらってから足かけ十ヶ月かかることになる。この間まるで興味もなければ読みたくもない書類に事細かに目を通し間違えないように慎重に書類に書き込んだり本人が書かなければいけないところは子供に説明して書かせたりウェブサイトにログインして必要事項を打ち込んだり本当に本当に本当に大変だった。大体自慢じゃないけど僕は小説やエッセイや興味のある評論なんかは読めてもその他の実用的な文章というのを読むのがすごく苦手だ。トリセツなんかも読めないし就活のときは仕方なく読んでたけど新聞なんかも基本的には読めない。無理すれば読めないこともないけど相当な抵抗を感じる。(今日NHKアナウンサーの井上あさひさんが全国紙は全部読むというのを知って大げさでなく戦りつした。すごい。僕には絶対にできない。)現代詩なんかも読めないけどこれはまあちょっと意味合いが変わってくるだろう。あんまり読めないのである種の障がいを疑いたくなるほどなんだけど本当に障がいを持つ生徒さんがどれほど苦労しているかを知ってるのでそう簡単に障がいとは言えない。また言いたくない。という訳でここまで割に茨の道だった。本当は受験生本人がやるべき作業なんだけど受験生にやらせるのもかわいそうだということで代わりにやってる親御さんも相当数いるんじゃないかと推察される。読むことが僕ほど苦手じゃないことを祈るばかりだ。
 ところでひとつ忘れていたことを大学に書類を提出する際に思い出した。それは奨学金がもらえる条件が整うと学費の減免が受けられるということだ。JASSOでなく大学のサイトで手続きの詳細を調べると学費の減免を申請する方法が書いてあり必要な用紙がダウンロードできるようになっているのに気づいた。すごく親切だ。所得とかによって減免の額が変わるのか金額は記載がないんだけどなんだか一気に気分が明るくなった。喜んでダウンロードして必要事項を記入し添付すべき書類を用意した。どれくらい減免になるのか今からとても楽しみだ。

日記が止まってる。

 最近また町田康さんと絲山秋子さんのサイトを見るようになったんだけどどちらも日記が昨年の日付で止まってる。特に町田さんの方ははっきり言って何を書いてるのかよくわからないんだけど多分それまで一日も欠かさず書いてあったのでそろそろ一年近く止まってるとどうしたんだろうと心配になる。お忙しいだけならいいんだけど。それと今日きっかけがあってあるはてなブログの読者になった。でも実はそのブログも昨年11月を最後に更新が止まっている。そこも結構な頻度で更新されてたみたいなのでちょっと心配。カズオ・イシグロやガルシア=マルケスの作品の感想がおもしろかったので星をつけさせてもらった。

納豆にはまる。

 納豆にはまってしまった。納豆で一杯飲んで納豆でご飯を食べる昼食。家人はあまりかき混ぜないで食べる派なんだけど僕はたれとからしを入れるまでに三百回数えてかき混ぜそこからねぎとかつお節を入れてさらに百回かき混ぜる。ご飯と一緒に食べるときはそこにさらによくかき混ぜた生卵を入れてさらにかき混ぜる。だから口に入るまでに結構時間がかかる。でもとてもおいしい。
 スーパーによって置いてある銘柄とか異なるので最近はできるだけいろいろな種類を買うようにしてるけど今のところどれもおいしい。つか好きすぎてたいていの銘柄はおいしく感じられるだけの話かも知れない。ただ納豆のいいところはその圧倒的なコスパの良さにあると思うので三個パックで百円以上は許されないというのが個人的なルール。それと小粒しか買わないというルールもある。

入学式。

 子供の大学の入学式。スーツに青いチェックのシャツにピンクのネクタイを締めて靴はアディダスのスーパースター。すごく似合う。青いシャツにピンクのネクタイは随分前から気に入ってよく着ていた。それを子供が受け継ぐ。もっとも着るものにはまるで興味のない子なんだけど。

XXL。

 子供がバイトで白いワイシャツが必要ということでこの前西友でXXLのシャツを買ったらちょうどよかった。それで大学の入学式のためにユニクロのサイトで全部XXLサイズのチャーコール・グレーのジャケットとパンツそれに青いチェックのボタンダウンシャツを買ったらぴったりだった。ということでしばらく子供の服はXXLを基準に買えばいいみたいだ。ちなみにXXLサイズはよく行くユニクロのどこにも売ってない。今のところウェブでのみ手に入る由。

ものすごく疲れる。

 普通に会社勤めをしてれば一日に八時間働くことになると思う。もちろん残業があればもっと働く。 前の会社でも繁忙期には十二時間くらい会社にいることがあったしこの仕事を始めてからも外でバイトをする時間を合わせると一日に十四時間くらい働いていたこともあった。今は春期講習会があるので普段一日に五時間ほどしか仕事をしてないところをそれでも七時間半くらいは教室にいる。ただそのプラス二時間半でものすごく疲れるようになってしまった。去年までは講習会期間中でもまあ多少長時間仕事をしてる感じはあったけどここまで疲れるということはなかった。ましてや十四時間働くなんてよくも体がもったもんだと思う。やってみないとわからないけどもうそういうめちゃくちゃな働き方はできないんじゃないかという気がする。やわになったと言うよりはっきり年を取ったんだと思う。

 でも今の塾の生徒さんの年齢はバランスがよくなくていちばん人数が多いのが受験生で来春には彼らは進学してごっそり塾を辞めてしまう。すると月収が今の半分近くにまで減ることになる。もちろんそれまでに一定数新たな生徒さんを獲得できればいいんだけどもしかしたら新型コロナ・ウィルスの潜在的な影響なのか特に低学年の生徒さんからの問い合わせが極端に少なくなっている。このことを考え合わせると見通しは一気に暗くなる。タイムリミットは一年を切ってるかも知れない。それまでになんらかの手を講じなければならない。今日たまたま近くの保育園に求人の看板が出てるのを見つけた。うちからほんとに目と鼻の先の場所だ。資格がなくても手伝えるとある。ちょっと連絡してみようかと思うんだけど今の疲労の程度を考えに入れると果たしてそんな仕事が勤まるかとても不安だ。でもそんなぜいたくを言ってる場合じゃないところまで来ているのかも知れない。

違和感。

 村上春樹さんが早稲田大学の入学式にサプライズで姿を見せ祝辞を述べたそうだ。この前の資料館だか記念館だかを建てる話と言い結構な違和感がある。母校に対してそういうことをする人じゃないと思ってたから。いや僕なんかがどうこう言う話じゃないし言ったところでもちろん無意味なんだけどそういうのが年を取るということなのかなあと思ったりする。なんて言うかこうどこかに帰属したくなっちゃったりするのかなあと。あと吉本隆明さんの往きと還りの課題で言うとこういうことを一度やると毎年祝辞を述べに来なくちゃならなくなるんじゃないかという気もする。還りの課題を考えて往くのを思いとどまるというのは個人的には生活を律する重要なルールのひとつになってるのでそこでもまた違和感にぶつかる。という訳で僕は一生浮気はしないと思う。

宮沢賢治全集。

  昨夜酔っ払ってアマゾンを検索してたらどこをどうクリックした結果か覚えてないけど宮沢賢治の「虔十公園林」が青空文庫で無料でダウンロードできるとあるのに出くわした。キンドルで読めるという。今までキンドルは使ったことがないんだけどそう言われるとなんだか無性にこの作品が読みたくなって少々手間だったけどキンドルをインストールして読んだ。すごくよかった。新潮文庫版を持ってておそらく数十回は読み返してると思う。でも文庫専用のほこりだらけの本棚から引っ張り出すよりもとても快適だった。それで他の作品も探すと宮沢賢治全集が200円で買えるとある。即決で購入。疲れも忘れて「貝の火」とか「どんぐりと山猫」とか「セロ弾きのゴーシュ」とか大好きな作品を無心に読んだ。これはすごく楽しい体験だった。初見のお話じゃないので酔ったときそのときだけの読む楽しみで全然構わない。何も覚えてなくていい。すごく気楽で自由だ。
 朝起きて続きを読もうと思ったら夏目漱石全集もダウンロードしてあった。記憶にないけど確かに欲しいと言えば欲しい全集なので買ったんだろう。それも酔ったとき楽しみに読みたいと思っている。