指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

2010-01-01から1年間の記事一覧

今年もこれでおしまいです。

僕の実家に帰省。父親に頼まれて買ったノートPCが実家に届いていたのでセットアップ。Windows7機は初めて触る。安いのにスペックも高いし液晶もきれいですごい。無線LANにつなぐのに、家人がすごい働きをしてくれた。僕ひとりではできなかったと思う。AOSSが…

今年も読めなかった。

感想をアップしたのが37冊、感想を書かなかったものを含めても40冊行くか行かないかでここ数年で最低となった。いよいよランキングにはなんの意味も無くなった気がするけど、備忘まで。 1位 本当に久しぶりにウンベルト・エーコの小説が読めてうれしかった。…

子供の思い。

ただでさえ仕事で帰宅が遅いのに、出張があり忘年会があり、イベントのお手伝いで休日も朝と晩に会場に出かけたり、その他にも休日出勤があったりして、家にいる時間が極端に削られた師走だった。すると子供がかなり寂しがっているようだと家人に聞かされた…

右肩下がりの日本で。

内田樹さんと高橋源一郎さんに現在の政局について渋谷陽一さんがインタビューしたもの。と言うか、もうほとんど鼎談と言ってもいいかも知れない。日本は右肩下がりでシュリンクする一方、それは高度資本主義が突っ込んで行く未曾有の情況で、誰もそれがどこ…

久々のCDプレーヤー。

何年か前に急にテレビが壊れ、ちょっと無理して32型のVIERAを買った。今までのテレビ台には収まり切らなかったのでテレビ台も買い換えた。それまでの台は引き出しの上にテレビを載せ、さらにその上にも支柱に支えられた板が載っていてなんやかや置いておける…

うどんでイヴ。

22日の夜中に子供が吐いてしまい、どうもお腹をこわしたようだったがとにかく食欲が無く、23日もうどんしか食べたくないということだった。24日は二学期の終業式でだいぶ元気になったし皆勤を狙っているので登校させたが、クリスマスイヴと誕生日には恒例に…

たった二日間。

まず、すごく複雑にたくさんのことが起きているのに、そのほとんどがたった二日の間に凝縮されている。その時間軸の現在との違いに驚かされる。こういう時間軸を持った世界は、たとえばドストエフスキーの作品などにも共通している。密度の高い時間だ。その…

「眠り」について。

この作品のオリジナルヴァージョンの「眠り」を初めて読んだのは、単行本ではなく雑誌でだった。どの雑誌だったか憶えていないけどオーソドックスな文芸誌ではなく上質の紙を使った大判の雑誌だったと思う。ついでに言うと、それには「眠り」の他に「氷男」…

魔法の電車。

会社の人に借りて読んだ。生活実感に若干やすりをかけた程度の倫理に、電車とその沿線の街は覆い尽くされていて、その倫理に抵触した人々が次々と排除されて行くという点では勧善懲悪の人情ものだ。またそれ以外の人の間では簡単にその倫理が共有されてしま…

ヒュパティアがいる。

11日、12日はイベントのお手伝いで会場がある百貨店まで朝と夕方の二回ずつ行く。13日はできるだけ外回りで東京と渋谷、14日から出張で名古屋、広島、岡山。岡山では得意先の女性ふたりと夕食。15日は朝早く岡山を出て新大阪から梅田、それから新大阪に戻っ…

初めて読む人のためのウンベルト・エーコ。

こんなことを書いたところでじじいの妙に屈折した思い出話にしか聞こえないと思うけど、記号論学者の書いた「バラの名前」という作品がすごいらしいという情報が耳に入ってからその翻訳を手にするまでにはものすごく長い時間がかかった。何年も何年も待った…

結局泣きました。

うちでは子供がいちばん好きなこともあって「モンスターズ・インク」がピクサーの最もいい作品ということで話が一致してるんだけど、そういうのってそれほどどこでも通用する言い分ではないかも知れない。僕は見ていないんだけど、家人があまり評価しない「M…

ボンベイ・トーキー。

さとうのメンチカツの前日、水曜日に仕事でラゾーナ川崎に行った。ここのところずっと川崎に行くときには家人が着いて来て、仕事が終わった後お昼を一緒に食べる。フードコートへ行ったりしていたけど、いつからかSoup Stock Tokyoへ通うようになった。わざ…

吉祥寺さとうのメンチカツ。

最近吉祥寺に得意先が一軒増え、以前は一ヶ月に一度程度行くだけでよかったのが隔週で行くことになった。駅からの道に吉祥寺さとうのメンチカツを求める有名な行列がいつもあり、あんなには並びたくないけどいつか機会があったら食べたいと思っていた。 いつ…

本を読まない11月。

今月に入ってあまり本を読んでいない。毎年この時期になると仕事が忙しく帰りも遅くなり疲労もたまって休日は主に体を休めるために使われることになる。ぼーっとしていたいときに読書はあまりそぐわない。外回りでなんとか昨日触れた本だけは読み通したけど…

ちょっと意地悪く言うと。

うちは読売新聞をとってるんだけど、今日の朝刊に村上龍さんの「歌うクジラ」の広告が載っていた。「村上龍の超・エンタテインメント!」という惹句があって新聞社の短評がいくつか引用されている。短評のうち半分は作者自身がこの作品について言っているこ…

子供が蹴られる。

今週のことだが子供が学校で蹴っ飛ばされて保健室へ行くということがあった。家人が担任の先生から電話で聞いた話によると、下校しようと学校の玄関を出たところで、向こうから子供の方へボールが転がって来た。それを蹴り返そうとしたらへたくそで別の方向…

うーん、なんて言うか。

「希望の国のエクソダス」や「半島を出よ」が近未来小説だとしたら、この作品は完全にSFと言ってしまった方がよい。そんな印象は装置や設備といった未来に属する道具立てを描写するのに多大な紙面が使われていることから来ている。そしてSFとして見るならそ…

サイン会に行かなかった。

お名前を記すとそのお名前と「サイン会」の検索語で引っかかって、ここにいらっしゃる方があるので書かないけど、ある作家のサイン会が今日あったのに行かなかった。つい最近電子書籍系の会社をつくった方だと言えば、かなりの確率でおわかりいただけるんじ…

バイキングは苦手。

立食パーティーでバイキング形式というのも珍しくないけど、バイキングは苦手だ。皿に自分の好みの料理を盛る、という行為がとてもいやしいもののように感じられてしまう。そういう風に感じる人はそう多くないようで、たいていの人が平気でそれをやっている…

ドレスアップ。

結婚披露パーティーによばれて行った。平服でいいということだったのでちょっとおしゃれしようと思い、午前中ユニクロで青のストライプのクレリック・シャツを買い、グローバルワークでナイロン地に近いフード付きの春秋もののコートを買い、スーツカンパニ…

子供を苦しめて欲しくない。

先週の木曜日だったか仕事で吉祥寺に行き午後三時頃着いたんだけど、ホームからすさまじい怒鳴り声が聞こえて母親と思わしき人がちょうどうちの子と同じ三年生くらいの男の子を叱りつけていた。急いでいたので足は止めずに聞くともなしに聞いていると、その…

マーチじゃなく小唄。

こういう風に書かれると人間ってくだらないなあ、と確かに思う。くだらないことで腹を立て、くだらないことで意趣返しをし、くだらないことで溜飲を下げている。もうちょっとどうにかなんないかと思って、音楽とか映画とか小説とか学問とか、あるいは食べ物…

言葉と現実のすき間。

帯に「(前略)世界を睥睨する町田文学の新境地。」とある。例によってそれは本編を全部読むまで見ないようにしてたんだけど、言われてみると確かに新境地という気がする。「真説・外道の潮騒」みたいにテーマがとてもはっきりした作品、また初期の作品を除…

青春小説とは何か。

人から借りて読んでちょっと前に返してしまったので手元に無く、記憶だけで書くしかない。でもとにかくとてもおもしろかった。個人的には「青春小説」という言葉をほとんど気にしないでここまで来た。好きな作家でもいわゆる「青春小説」を書いている場合が…

オースターを考え直す。

初めてオースターの作品を読んだときはまだ学生だったので、なんのかんので二十年くらいは読んで来たことになると思う。それだけずっと読んでたんだから、好きな作家ということにもなると思う。でも「オラクル・ナイト」を読みながらあれあれと思った。それ…

ご無沙汰しております。

22日の金曜日に休みをとって、家人と庭園美術館の香水瓶の展示を見に行く。ええと正直言って僕は全然興味がない訳だけど、そういうことも言っていられない。彼女とか妻とか持たれたことがおありの方にならわかっていただけると思う。それでも礼儀正しくそれ…

帰省中。

昨日から僕の実家に帰省している。昨日は雨でどこにも行かずに子供は両親に遊んでもらい家人と僕はごろごろ過ごした。今日は天気予報がはずれて晴れていたので、昼に近くのイタリアンレストランに行って家人とふたりで食事をした。子供はざるそばが好きで最…

一筆書きのような小説。

長いものでもおそらく十ページにはならない掌編小説集。そのほとんどが人間の愚かしさや業の深さについて書かれている。おそらく僕などの方が作者よりずっとゆるくて曖昧な倫理しか持たないので、車谷さんの作品を読むときには、ここまで突き詰めるのか、凄…

超然としている、ということ。

絲山秋子さんの日記を普段から拝読しているので、「妻の超然」、「下戸の超然」、「作家の超然」の三作のできあがって行く過程を、割にリアルタイムで知ることができていたような気がする。それで三作とももっとずっと長い話なのかと思っていた。それぞれが…