指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

2012-04-01から1ヶ月間の記事一覧

声に出して読みたい川上未映子。

川上未映子著「先端で、さすわ さされるわ そらええわ」 詩ということでいいんだろうか。何が書かれているか理解するのはとても難しい気がする。意味を抜きにして文体だけを楽しむとしたら、と言うかそういうことができればという話だけど、声に出して読んで…

気楽に参りましょう。

山崎ナオコーラ著 「長い終わりが始まる」 この作品を読むと、学生の頃のすごくひりひりする心の状態を思い出す。なんかいつでも痛みを抱えていたなあ、という感じ。感受性も今より豊かだったのかも知れないけど、自意識も過剰だし経験値も低くて本当にいつ…

読んでみた。

東川篤哉著 「謎解きはディナーのあとで」 ミステリーの短編集、でいいんだろうか。謎解きの部分で重要なのはある状況がどんな物語として解釈されるかということで、状況説明とそれを解釈して出てきた物語とのギャップが大きければ大きいほど意外性があって…

また語り手の話。

山崎ナオコーラ著 「あたしはビー玉」 不思議な小説だと思う。なんだこれ、全然筋が通らねえじゃんという立場からすれば揚げ足取り放題だろう。そういう点でまあ無防備とまでは言わないけどガードが低いのは確かだと思う。でもそういうことは作者にはあまり…

意志は世界にどこまで迫れるか。

吉田修一著 「静かな爆弾」 吉田修一さんの作品ももう随分たくさん読んで来た。それで今はよーく考えれば一作一作の狙いと言うか、テーマと言うかそういうのが自分なりにかなりうまくつかめそうな気がしている。「ランドマーク」を読んだときにそんな風に感…

はじめはどうしていいかわからなかった。

青山七恵著 「魔法使いクラブ」 第一章を読んでるときはちょっとこれどうしたらいいんだろうという気がしきりにした。語り手は小学四年生の「あたし」だ。でも割と現在形も使って書かれているから、後年になって語り手がその年頃のことを思い出して書いてい…

極北の道。

マーセル・セロー著 村上春樹訳 「極北」 たとえば「未来少年コナン」とか「風の谷のナウシカ」とかエヴァンゲリオンなんかでもそうかも知れないけど、大量破壊兵器の使用や天変地異みたいなもので壊滅的な損傷を受けた後の世界を描くというのは、近未来SFと…

眠る日。

寝違えたのか首の痛みでわずかに目が覚めたけど起きあがる踏ん切りがつかずに、だましだましという感じでうとうとし続け起きたのがお昼頃。子供と家人と三人で昼食をとり、午後一時にはまた横になって三時過ぎまで断続的に眠る。ごくたまにこういう日がある…

中上健次さんの本を久しぶりに読む。

梅原猛 中上健次 「君は縄文人か弥生人か」 中上さんの本はまあだいたい持っているし没後刊行された全集も揃えたけどどちらも今は手の届かない書棚の深いところに埋もれている。ただし今日渋谷のブックオフでこの対談集を見つけたとき読んだことが無かったよ…

町田さんの底力。

町田康著 「破滅の石だたみ」 2008年に出たエッセイ集だけど初出をざっと見ると1999年に書かれたものなども収録されている。町田さんはエッセイも割にフィクショナルな文体で書かれることが多い気がするが、この本は比較的そういう感じが弱かった。こういう…

今日の105円。

昨日のブックオフはボウズで翌日行ってもあまり変わらないかとも思ったけど近くまで二日連続でコーヒーを飲みに行ったついでに寄ると、それぞれ105円で円城塔さんの「Boy's Surface」と町田康さんの「破滅の石だたみ」と青山七恵さんの「魔法使いクラブ」を…

ただミステリーであるだけでなく。

沼田まほかる著 「九月が永遠に続けば」 これが沼田さんのデビュー作ということでいいんだろうか。文章の重厚な感じが印象的でただミステリーやホラーであるだけでなく文章で勝負したいという意気込みをすごく感じた。エロとかグロとか言われてるらしいけど…

それから。

帰って来ると子供は約束があってすぐさま遊びに行った。テレ朝で野球の中継が始まる二時前までうとうとしてから西武対ソフトバンク戦を観戦。三時半まで見て残りは録画しとくことにして家人と出かける。家人はいくえみ綾(余談だけど「あや」と読むのかとば…

完璧な桜の日。

今日は完璧な桜の日だった。シートを敷いて靴を脱いで上がって家族三人で家人のつくったお弁当を食べた。そこはアルコールが禁止なので飲み物は熱いお茶。風は幾分冷たかったけど日の当たるところは暖かかった。でも夜桜は随分寒いんじゃないかな。熱燗でも…

始業式。

始業式で子供は小学五年生になった。クラス分けがあって仲のいい子と離れたり、幼稚園以来初めて同じクラスになった子がいたりといろいろあったらしい。もっとも子供は親にまるで似ずそこそこ社交的で誰と一緒でもあまり気にならないそうだ。僕なんかその頃…

涙は出るんだけどね。

有川浩著 「三匹のおっさん」 いきなりこういうことを書くのもどうかと思うけど「阪急電車」を読んで以来、つかそれしか読んでないんだけど有川さんの作品は好きではない。簡単に言うと勧善懲悪みたいなすごく通俗な倫理に作品が覆われていて良い人は必ず良…

ひとりの日。

洗濯をして合間に朝食にして干し終えて本を読んで、午後になったらお弁当を買いに行く。道すがら大きな公園があってソメイヨシノがいっぱい植えられている。遠目には全然咲いてるように見えなかったけど近くによるとちらほら花が開いていて、昨日ほどではな…