指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

キリン 樽生ブラウマイスターその2

ついに専用サーバーを買ってしまった。取り付けとか結構面倒だったが、その甲斐あって大変クリーミーな泡のついた生ビールを飲むことができた。晩酌するときにはいつもそれなりのつまみを用意するのだけど、ブラウマイスターを飲んでる限り、逆につまみは邪魔になる気がする。ビールだけあればいい。実は以前触れた、ボウモアというアイラ島シングルモルトも同じだ。それだけあればいい。その味だけを楽しめればいい。

味をしめて今日も買いに行ったら、何と売り切れだった。実は同じサーバーで一番搾りの生も飲めるらしいのだが、それも売り切れだ。仕方なく普通の缶ビールを買って帰った。

いつもは缶から口飲みするのだけど、今日はグラスを出してなるべくきれいに泡をたてて飲むことにした。すると、何となく生ビールの味に近づいた気がした。ひとつには泡をたてることによって炭酸がほどよく抜けること、もうひとつは、やはり舌が生ビールの味を憶えていて、無意識に味覚をそちらの方に引っ張って行くからと思われた。

こういうことは前にも経験がある。たとえば画集で見ていた絵画を、美術館などで実際に見たとする。色の鮮やかさや線のなめらかさなどを一通り頭にたたき込む。するとそれ以降、以前と同じはずの画集の絵が俄然違ったものに見え始める。目が実物の記憶を保存していて、レプリカの画像を本物の方に引っ張って行ってくれるのだ。

だから本物を体験するというのは大切なことなんだよ、と、とりあえず今日のところは、そんな結論くらいしか思いつかない。