指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

手続きが嫌い。

何かの能力が足りないことを証している気もするんだけど、それがどんな種類であれ手続きというものが嫌いだ。銀行、不動産屋、免許の書き換え、取引先との新しいアカウントの開設など。キャッシュカードなんて統合されてそんな名前の銀行はとっくになくなっちゃってますよという銀行名の入ったものを未だに使っている。つまり通帳がまるで更新されていないということでそれは記帳が面倒でまったくしないからだ。キャッシュカードを使うときに示される残高の額だけ知っていれば別にログをとっとく必要なんてないじゃないかとずっと思っているせいだ。
という前振りで目下最大の懸案かつ急務であるパスポート申請に触れたい訳だがもとよりそんなものが得意であろうはずがなく、昨日の午後まで大変に気が重かった。区役所まで戸籍謄本ないし抄本を取りに行き写真を誂え最寄りだとサンシャインシティーのパスポートセンターになるんだけどそこで用紙に書き込んで提出する。ああ面倒だ。
でもまあ結構スムーズに事は運んだ。区役所も数分で済んだし、パスポートセンターは記入三分、待ち時間十分、確認五分くらいで計二十分足らず。それで申請が済んだ。写真だって駅とかにある機械で撮ってそのまま持って行けばサイズ通り切り抜き用紙に貼り付けるところまで係の人がやってくれる。書類の確認も十近く窓口がある上に臨時の窓口まで設置されていてさくさく進む。でも手続きの神様は僕を見逃さなかった。割り当てられた窓口には係員がふたりいてどうやら初心者が隣の指導係に見守られながら実地の教習を受けているらしくすごく手際が悪い。でもそういう立場で教わりながら仕事をするプレッシャーに比べたら待ち時間がわずかに延びるなどささいなことだと思い直し、係の人の手元を見つめないようあらぬ方を眺めながらやり過ごした。
来週の火曜日にパスポートを取りに行く。渡航の準備はまだ始まったばかりだ。