指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

2007年12月23日午後5時、ダッフルコートのサンタクロースは池袋で。

子供にはサンタクロースを信じさせている。何年か前からイブにはプレゼントを密かに用意しておき、ベランダを何度か確かめさせた後そっとプレゼントを置いて見つけさせて来た。これは僕の両親が僕に対してしてくれたことでもある。さっきまで確かに無かったはずのプレゼントが忽然と現れたその感じはとても不思議で、世界は今ある現実の世界だけでなく見えないもうひとつの世界とつながっているんだと、今から思うとそんな風に思われた。世界がぐんと広がる瞬間だった。それを子供に追体験させることが正しいことなのかどうかはわからない。でも狭いよりは広い心持ちの方がいいような気がして続けている。
今年は何しろ忙しくてプレゼントの手配が遅れた。昨日の午前中家人に子供を連れ出してもらってその間に買いに行こうと思っていたら、雨が降った上に前日の忘年会で飲み過ぎた僕は半日寝ていなければならなかった。晩はまた忘年会で二晩続けて帰りが遅くなったため今日の午前中は僕とプールに行きたいと言うのでその通りにした。そこで夕方の散歩を家人に受け持ってもらうことにしてひとりでプレゼントを買いに出かけた。「ディアルガパルキアダークライ」のDVDが出たのでレンタルビデオ屋へ行きがてら子供を連れて散歩して来ると家人は言った。
午後4時に家を出て地下鉄に乗って池袋まで行きビックカメラより比較的すいていると聞いたLABIへ行って7階で「ガンダムエクシア」と「ヴァーチェ」のフィギュアを買う。レジがものすごい人で僕は列に並ぶのがとても嫌いなのだけどそうも言っていられないのでおとなしく並んだ。
それからラッピングのための袋を買おうと思ってロフトへ向かった。ビックカメラの前の細い歩道は行き交うのも難しいほどの人混みだ。2007年12月23日日曜日の、午後5時、池袋。そんな時間にそんなところを人波に押し流されるようにして歩いている必要なんて何も無いような気がしてくる。ただダッフルコートを着たサンタクロースとしての誇りだけが僕を支えていた。