指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

今年読んだ本。

その年読んだ本で印象に残ったものを毎年挙げているので今年もそうしたいけど書いている本人以外には大した意味はないと思う。その年の新刊をある程度網羅して読んでいるならともかく現段階では話題作だけに絞っても読んでいないものの方が圧倒的に多いからだ。好みの問題もあるしどの程度深く読めたかという問題もある。古い本だが今年読んだという作品だってある。個人的なメモ以上のものではない所以だ。
例年特にランクとかはつけずに来たが今年は5位くらいまではランキングできそうに思われる。
1位

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(上) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

羊をめぐる冒険(下) (講談社文庫)

言わずと知れた村上春樹さんの鼠三部作の三作目。もしも年の前半とかに読み返していたらさすがに1位ということはなかったかも知れない。ただこれまでにも触れたように今回はいろいろと思い合わせることができてすごく深いところまでこの作品に沈み込めた気がした。おもしろくて切なく哀しい。クールなようでいて甘いところも多い。とにかく申し分なかった。
2位
血と暴力の国 (扶桑社ミステリー)

血と暴力の国 (扶桑社ミステリー)

国境三部作はいずれも大部だし取っつきにくいと思われるなら、とりあえずこの作品を読めばマッカーシーの文体の魅力は存分に味わえると思う。当たっているかどうか自信はないけど、暗い力を加算したヘミングウェイとでもいった感じだ。圧倒的な状況に追い込まれると後はもう必然的にすごい力である場所まで連れ去られてしまう、そんな運命の非情さが描かれている。未読の方にはお勧めしておきたい。もちろん大きなお世話なんだけど。
3位
アサッテの人

アサッテの人

不思議な小説。出だしは取っつきにくいけど全体的には決して難解な感じのする作品ではない。ファンタジーと言うか、幻想小説みたいなノリで読めるし実際僕はそう読んだ。キーワード「アサッテ」には確かに共感する部分がある。
4位
灯台守の話

灯台守の話

これもたいていのところは前に触れてしまった。asxさん*1ともコメントを交換した。もともとasxさんのブログで拝見して読もうと思った作品だった。前知識無しで読んでも何の問題もなくおもしろく読める。
5位
武装島田倉庫 (新潮文庫)

武装島田倉庫 (新潮文庫)

愛の矢車草 (新潮文庫)

愛の矢車草 (新潮文庫)

いずれも古い作品だが今年初めて読んだ。前者は近未来SF短編集?とにかくおもしろい。「愛の矢車草」についてはすでに触れてしまった。同位としたのはどちらかを入れるならもう片方も入れない訳には行かないという気が強くしたから。
あと下記は判断保留の作品となった。
囚人のジレンマ

囚人のジレンマ

一応全部読んではみたんだけど、これはかなりゆっくり考えながら読まないと駄目な作品のような気がする。そうでないとそこそこおもしろく読んだはずなのに未消化な部分ばかりが印象に残ってしまう。残念だけどいつかきっかけができて再読する日がやって来るのを待っている感じだ。
また以下の二冊は存在意義自体が疑問だった。(笑)
案外、買い物好き

案外、買い物好き

村上かるた うさぎおいしーフランス人

村上かるた うさぎおいしーフランス人

羊をめぐる冒険」を再読してこれが今年の1位になるかも知れないと思った瞬間、では2位はこれ3位はこれ、という風にするするとランキングが引き出されてきた。理由はよくわからないけど、特に今年のランキングに入れる必要が一般的にはあまり感じられない作品が1位になったことで、肩の力が抜けたせいだと思う。ある本を読むきっかけを下さった方々には大変感謝している。

*1:id:asxさん