昨年一番最後に読んだ本。モリミーの作品にして一昨年の
本屋大賞の二位。おもしろかった。いろいろ不思議なことが起こるしファンタ
ジーと言っていいんだけど、一番ファンタ
ジーなのは「乙女」のキャ
ラクター設定だと思う。要するに、あり得ない。いやあそりゃこんな「乙女」が21世紀の京都にいるんなら血眼になって彼女を捜し出し、そのボケっぷりに心から癒されたい気がする。でもこれは時代錯誤を時代錯誤と感じさせない作者の(たぶん)血のにじむような努力によってつくりあげられたキャ
ラクターであり、端的に言ってこんな純朴な「乙女」は現代ではあり得ない。これをあり得ないと思うか、どこかにあり得るのではないかと思うかで、この作品に対する評価は結構分かれたりして。僕はあり得ないと思うので残念ながらあまりいい作品とは思わない。