指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

おかいもの、おかいもの。

グローバーオールのダッフルコートを昨年のシーズンの終わりに捨てた。十五年くらい前に買ったやつで、その間にはエイヴォンハウスとかブルックスブラザーズのダッフルコートを着ていてひと冬一度も袖を通さなかった時期もあったが、そうして温存していてもさすがにトグルの当たるあたりがこすれてきてみすぼらしくなってしまった。こうして必ず一着、時期によっては二着持っていたダッフルコートがついにひとつも無くなった。昨年のヴァンヂャケットのダッフルコートは裏地がブラックウォッチで好みから言えば申し分なかったが、冬のブレザーと靴を新調せねばならず買う余裕が無かった。これは今考えても残念だ。
寒くなってからやはりひとつはダッフルコートを持っていたいと思って池袋の西武に見に行ったら、ブルックスブラザーズのものが8万3千円弱だった。気軽に買える値段ではないがとりあえず心に留めておいた。バーゲンでもし値引きになりでもしたら買おうかとさしてあてにもせずに待っていた。
西武冬市の初日などに初めて行ったのはひとえにブルックスブラザーズのダッフルコートを求めてのことだった。売り場へ行くと三割引になっていたので買った。すごくクレバーで手際のよい買い物だったと自画自賛して帰った。しっかり仕立ててあるせいか、手に持つと思いがけないほど重い。