指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

心の準備。

吉本さんと対談している町沢さんは精神科医で、お二人で何人かの文学者について語り合ったのがこの本だ。読んでみてうまく言えないけど町田さんと吉本さんのスタンスの違いを感ぜずにはいられなかった。簡単に言えばそこにもしも病態があるなら、町沢さんはそれを分析して治療したい願望を持つのに対し、それを分析し理解することによって赦そうとするのが吉本さんだ。治療できたのにという思いの抜きがたい町沢さんと治療できたかどうかなんて大した問題じゃなくて、必然的にこうなったという吉本さんの認識の間の齟齬が次第に明確になって行く。救えなかった何かに対してこうすれば救えたのに、と今更言い立ててもそれは賢しらに見えるだけだ。