- 作者: 埴谷雄高,NHK
- 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
- 発売日: 1997/07
- メディア: 単行本
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この本を読んで「死霊」に関して何かがすごくよくわかるということは残念ながら無い。それよりむしろ、埴谷さんの気配と言うか、たたずまいと言うか、あるいは話すときの呼吸と言うか、そういうものがリアルに伝わって来るし、それはファンとして(ファンなのか?)感慨深い。
ただ、この人は生活者としてはちょっとひどいんじゃないかと思う。何度か奥さまのことを「気の毒」とおっしゃっているが、気の毒程度で済む話ではない。若い頃は生活を抽象的に捉えていたため埴谷さんの芸術至上主義みたいなのがとてもかっこよく目に映った。同じものを今は否定的にしか見られない。自分でも随分変わったと思う。