- 作者: 片岡義男
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 1979/06/01
- メディア: 文庫
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それでこの前ブックオフに行ったとき、とりあえずタイトルを知ってるのをと思ってこの本を買った。一編目から大変印象的な作品が続いた。おそらく片岡さんはアメリカの小説の文脈の中に、日本語で書かれた小説を取り込んでしまいたいモチーフをお持ちの気がした。それがたとえばヘミングウェイの短編を連想させる原因となっている。でもヘミングウェイほど硬質になってしまわないのは、それでもそうした作品を日本の風土に根付かせたいというある種のサービス精神をお持ちか、あるいは生理的に日本的な情緒を切り離しきれないかのどちらかのように思われる。いずれにせよそれらはハイブリッドな小説のような気がした。どちらを欠いても作品が成り立たないふたつの要素が、どの作品の中でも拮抗している。
でもそれはこれからも黙って自分ひとりで握りしめておくべき感想だ。近くまた片岡さんにお目にかかるかも知れないけど、その作品を話題にする気はない。