指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

きこえるかしら ひづめのおと。

赤毛のアン(1) [DVD]

赤毛のアン(1) [DVD]

アニメーションの作品で好きなのは何かと問われるとすぐには答えられないけど、じゃあTVシリーズならどうかと言われたら即座に「赤毛のアン」と答える。三十年前の作品だということだ。1979年。「ルパン三世 カリオストロの城」も劇場版「銀河鉄道999」もこの年の作品だ。そうしたフラッシュみたいに目も眩むような作品が登場した背景で、一年間50話にわたって放映され続けたすばらしい作品だ。
DVDを家人がレンタルして来てくれて一話から見始めた。すごくよくつくられている。最近は映画でもアニメでもリメイクばかりで食傷気味だが、たとえば「赤毛のアン」を丹念に見直してみると得るところが大きいんじゃないかと思う。物語の力に頼ることなく、少しでもいいものをつくろうという気概に満ちている。新しい物語には優れたものが無いと判断して古い物語を選び、だからリメイクが増えてしまうんだろうけど、大事なのは物語のなまの力だけではなくそれを生き生きと語る新しい語り口なのだ。その語り口が見いだせていないように思われる以上、どんな物語を借りて来たって優れた作品ができる訳がない。