指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

雨の日の散歩。

普段は雨が降ると夕方の子供との散歩は取りやめになる。今日も微妙な空模様だったけどとりあえず降ってはいなかったので用心に傘を携えて出かけた。比較的短いコースを選んで最寄りのブックオフを目指す。僕は中原昌也さんの三島賞をとった作品の新潮文庫版を探すつもりだった。子供には、最近新潮社から出始めてそろそろ刊行が終わろうとしている、「日本鉄道旅行地図帳」の一冊を新刊書店で買おうと思っていた。お茶の時間に家人が焼いてくれたブラウニーがとてもおいしかったが、ちょっとだけ胃にもたれた。その胃袋をぶら下げるようにして歩いた。もうちょっとで着くというところで雨が降り始めた。
先に新刊書店へ行き子供に目当ての本を買った後、念のため中原さんの本を探したが無かった。ブックオフでも見つからなかった。ブックオフに入る度習慣のように探している川上未映子さんの本も見当たらなかった。その替わりに橋本治さんの「生きる歓び」の角川文庫版を105円で見つけた。うれしい。「つばめの来る日」にもいつか出会えるだろうか。その間子供はずっとポケモンの攻略本を立ち読みしていた。欲しいかと尋ねるといらないと言う。それくらいなら「日本旅行鉄道地図帳」の未入手の巻が欲しいらしかった。来週また買ってあげると答えた。
強くなり始めた雨の中を、歩いたことのない道をできるだけ選びながらふらふらと並んで帰って来た。家に着くと家人が何か焦がしたみたいで台所に白煙が立ちこめていた。いや別に何かの象徴ということでもなく。