指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

土曜日の午後のせんべい焼き。

木、金と子供が熱を出して学校を休んだが今日は熱も下がり、でもあまり外へ連れ出す訳にも行かなくて比較的するべきことの無い一日になった。家人と子供が帰省しているときに大がかりな掃除をしたが、ベッドサイドにうずたかく積まれた数十冊の本についてはほこりを払うのに時間がかかりそうだったのでとりあえずゴミ袋に入れてしまっておいた。今日はそれを袋ごとベランダに出して濡れ雑巾で一冊ずつ拭くことにした。拭いたまままた積み直すと湿気で表紙同士が張り付いてしまう恐れがある。それで本を乾かすことにした。拭き終わった何冊かの本を表紙に日が当たるように並べてベランダに置いておく。少ししたら裏返す。また少ししたら並べてあった本をまとめて積んで次の本を並べて乾す。この作業を、ベッドで本を一章読み上げるだけの時間を挟みながら繰り返した。タイミングを引き延ばされたせんべい焼き職人になったような気がした。
夕方になってすべての本を気持ちよく乾し終わり、乾しながら読んでいた本は残りが随分少なくなった。でも考えてみたら乾し終えた本を収納する場所が思いつかない。もともとベッドサイドに積んであった本だ。元の場所に戻してもまたいつしかほこりをかぶるだけだ。いっそ全部捨ててしまうか。その大半は家人の所有物なんだけど。