指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

困る。

昨日休暇を取って午前中は家人と出かけて午後はうちにいた。うとうとしたり本を読んだりした。公文の教室がある日で、学校から帰った子供はそれに出かけて行った。ところが帰りがいつもより遅かったので心配になって教室まで迎えに行った。ガラスのドアからのぞくと子供はまだ教室で机に向かっていた。終わるのを待っていようかとも一瞬思ったが、平日の夕方子供たちが集まる場所にいい年をしたおやじが立ってるのもいかにも不審者っぽい気がしてそのまま帰った。それから三十分もせずに子供は帰って来た。迎えに行ったけどまだ勉強してたんで帰って来た、と告げると大変残念そうだった。待っていればいいのに、としきりに言う。
夜になって子供が寝室に行ってしばらく静かになった。家人が様子を見に行き、戻って来て、泣いてるよ、と言う。びっくりして、なんで泣いてんの?と尋ねると、パパと一緒に帰って来たかったんだって、と答えた。かわいいね、と家人は言うが、正直かなり戸惑った。夜になるまで大事に持ち抱えて泣くようなことか?
丸一日経って、とにかくそういう感受性を持った子供を自分たちは育てているのだ、というところまでは理解が進んだ。善し悪しではなく、わかるわからないではなく、そういう子なんだ、というところまでは。