指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

風向きが良くなる。

風向きが良くなり本がこちらに吹き寄せられて来る。図書館に予約していた柴田勝二さんという個人的に未知の作者の「中上健次村上春樹」の順番が回って来て今日家人が借りて来てくれた。夕方子供との散歩でブックオフに行ったら百五円で古川日出男さんの「ハル、ハル、ハル」とレベッカ・ブラウンの「体の贈り物」があったので買った。村上さんの新刊は今日も八時間くらい読んで一巻目が終わり、二巻目も残り350ページを切った。この本についてのどんな情報も今は知りたくないし、つまらないことを書いて誰であれこの本の読者の感興を殺ぎたくない。ただページを開いている間は物語に閉じこめられている感じがあって、それはこの本に限らず強い文体で書かれた長編を読んでいるときにたまに起こるんだけど、そういうときには本を閉じて現実に戻って行くのに違和感がある。あるいは現実そのものに違和感がある。普段から怪しいものだがそういうときは特に、いい夫でもいい父親でもなくなる気がする。家人と子供には本当に申し訳ないと思うけど、あと一日だけご勘弁を。月曜日には元のパパに戻るから。