指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

九月に読んだ本の残り。

六〇〇〇度の愛 (新潮文庫)

六〇〇〇度の愛 (新潮文庫)

四十日と四十夜のメルヘン (新潮文庫)

四十日と四十夜のメルヘン (新潮文庫)

新潮文庫の新刊に、気になっていて読んだことのなかった作者の作品が同時に収録されたので、まとめて買った。残念ながらどちらとも肌が合わなかった。前者は冒頭で女が子供に「坊や」と呼びかけたときになんだこりゃと思い、そのままどうにも信用ならない気がしてそれが最後まで続いた。自分の読みの浅さを棚上げして言ってしまえば、すごく鋭いものを文体に感じるんだけど、それが鋭さのための鋭さと言うか、どこにも行き場のない、ただ鋭くありたいがためだけの鋭さみたいに思われた。おそらくそこにはそういう文体でしか表せない何かがあるんだろうとは思う。でも個人的にはただ信用ならない、と感じられるだけで終わってしまう。作者は評判がいいみたいなので、他の作品も読んでみたい。たとえば絲山秋子さんみたいに、初めて読んだときには気に入らなかったのに、その後思い直してファンになった作家もいるから。
後者も一読してすらすらわかる作品には思われなかった。まだまだ駄目だね、自分。いつか再読したい。