指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

入院、退院。

火曜日のお昼を食べた後から断続的に腹痛があり、三時を過ぎたあたりから仕事を続けるのがつらくなって早退した。夕食抜きで寝ていると、痛みは始まりからぐーっと強くなり、三十秒ほどで良くなる。それから二、三分はなんでもないがその後また三十秒ほどの痛みが始まる。それがだんだん痛みの幅が長くなりも強さも増して行った。午後九時頃にちょっと耐え難いほどになり、家人に電話してもらった後近くの救急外来を受診した。症状の説明と触診でおそらく腸の運動が活発でそれが神経を刺激して痛んでいるということで、注射をしてもらったら一気に痛みが引いた。痛み止めと整腸剤をもらって帰った。
痛みがぶり返して来たのが午前一時頃で、痛み止めを飲んだら少し良くなった。次が三時で、このときは痛み止めを飲んでもまるで効かなかった。三時半にまた救急外来へ行った。血液検査をしたらその後顔の血の気が引いて冷や汗が後から後から流れ出て来た。腹痛は相変わらずで、検査結果が出るまでもしかしたらこのまま気を失うかも知れないと思いながらとにかく我慢していた。つらかった。
腸の動きを抑える注射が逆効果だったかも知れないということで、でも痛みをとりあえず抑えるために同じ注射を前の半分量だけ打ち、お腹のレントゲン写真を撮りに行った。注射の効き目はすぐに切れ、レントゲンでは腸内にガスが溜まっていて腸閉塞か膵炎が疑われるが、その他の理由も考えられるという説明を疼痛に耐えながら聞いた。入院した方が良いということで、心電図をとってから病棟に移り、そこでも問診や血圧検査、検温などの検査の間痛みに耐えていたが、冷や汗はやっと止まりまた病室のベッドに横になれたことで幾分か楽になった。点滴が始まったのが午前八時くらいだったろうか、すぐに具合を尋ねに来てくれた看護師さんに、この点滴には痛み止めが入っているのか、と尋ねたほど痛みは急速に治まった。ただし下痢がひどくてほとんど三十分おきにトイレに行った。前夜の痛み止めとは逆に腸の運動を活発にする処方が施されたからで、とにかく出せるだけ出してしまえということらしかった。
朝食も昼食も抜きで一日うつらうつらしていた。夜になって食事が出て食べたけど痛みは来なかった。下痢は少し前にすでに治まっていた。主治医と相談して翌朝退院することが決まった。眠くなるまで家人が持って来てくれたDSをやったけど、消灯後もあまり眠れなかった。
六時起床で七時に朝食、十時に点滴が終わって迎えに来てくれた家人と十時半頃病院を出た。別に元気だったので十分ほどの距離を歩いて帰り、シャワーを浴びた後、どうしても行かなければならない用事があって十二時前に出社、午後一時過ぎに早退。昼食にうどんを、夕飯にパスタを食べたけど痛みも下痢もない。原因は一週間後にわかるそうだ。
だからなんだと言われると、日常生活を送れないほどの痛みは本当に困る、ということになる。