指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

今年も読めなかった。

感想をアップしたのが37冊、感想を書かなかったものを含めても40冊行くか行かないかでここ数年で最低となった。いよいよランキングにはなんの意味も無くなった気がするけど、備忘まで。
1位
バウドリーノ(上)バウドリーノ(下)
本当に久しぶりにウンベルト・エーコの小説が読めてうれしかった。だけでなくおもしろかった。もっと知識があればもっと楽しめるのかも知れないけど、このままでも充分。
2位
1Q84 BOOK 3
もちろん一冊だけで評価すべきかどうかわからないけど、なんのかんの言っても物語の奥行きというのにはすごく深いものがある。村上さんにしか実現できない深さが。それに触れることができるのはやっぱりすごくうれしいことだ。
3位
ピストルズ
 阿部和重さんの作品の中ではいちばんおもしろかった、と言っていいと思う。文体のせいもあって厚いけどぐんぐん読める。阿部さんの他の作品への言及、それから新宮市が現れたことには驚かされた。
4位
夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです
小説ではないけど村上さんのファンなら必ず楽しめると思う。正直タイトルはちょっとどうかと思うけど。
5位
イキルキス
表題作がものすごくよかったので。
6位
「悪」と戦う
このところ小説は悪ブームということだけど、読んだのは高橋さんのこれだけ。こんなに重いテーマをこんなに軽い文体で書けることが驚き。
7位
妻の超然
「作家の超然」に関しては力以上のものを書こうとしたという作者の述懐をどこかで読んだけど、本当に秋山さんの作品の中で異彩を放っている気がする。他の二編は個人的にはうまく読めたと思う。
8位
どつぼ超然
このところ愛読している作家では超然がブームだ。超然にとらわれ自分がどんどんずれて行く、その道筋がとてもおもしろかった。
9位
獣の樹 (講談社ノベルス)
ノンストップ、シミトモナルオ・ストーリー。あり得ない。でもあり得ないことなんて何ひとつ無い世界が気持ちいい。「Speed Boy」未読なんで読みたい。
10位
ブラッド・メリディアン
読んだ直後はすごく腹が立ったけど、それは帯の惹句のせいであって作品のせいではない。「ザ・ロード」から見れば、あるいは国境三部作から見てすら、後退した位置にいるようにしか感じられないけど、それでもマッカーシーは好きだ。
書かずもがなかも知れないけど、村上龍ポール・オースターは、もう読まない。ほんとは自分にとってそれが今年のいちばんの事件だったかも知れない。