指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

書けって言うから書くけど。

もともと人づきあいはよくないんだけどたまにすごく好意を寄せてくれる男の人というのがいる。いや、別にそっちの話じゃなくて(と信じたい。)。なんで俺なんかにそんなにこだわるんだろうと不思議に思われる人がこれまでに何人かいた。実は今の職場にもひとりいる。でも彼はもともとシャイなのをぶっきらぼうさで武装するようなタイプで、普通にしていてはあまり好悪を悟らせない。ただ彼との話を家人にすると家人はときどき、パパはその人に愛されてるね、と言う。なんか自分マンセーの人みたいで書いてて恥ずかしいんだけど、家人が書けと言うので書いている。
寝込んでいたので二日ほど洗髪しなかったら、出社前家人に頭がすごくぼさぼさと言われた。鏡で見た限りではまあちょっといつもと違うけど櫛は入れてあるしこれはこれでありだろう、くらいにしか思わなかった。そのまま出社したら社員の中で前述の彼だけが、どーしたの、頭ぼさぼさじゃん、と言った。その話を家人にすると笑いながら、やっぱパパを愛してる人だけにわかるんだよ、と言う。それから家人は、でもその人なら許しちゃお、と続けた。