指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

身勝手。

午前8時前のスカイマークの便で家人と子供が帰省した。6時過ぎに家を出て送って行った。新しいキャリー付きバッグはパステルカラーで目立つ。それに車輪が軽くよく動くので扱いやすい。あわただしく家人と子供が金属探知器の向こうへ消えてしまうと、変な言い方だけどすごく肩の荷が下りた気がした。原発関連で相当なことが起きてもふたりは安全な場所にいられることになるからだ。でもやはり家人は僕のことが心配だと言い、僕は心配したってしょうがないと答える。逆の立場だったら家人ひとりを東京に残してどこかへ子供を連れて行くことができるだろうか。子供のためを思って行くことができたにしてもやはり家人のことが心配で仕方ないに違いない。でもそういうことを一時的に無視して俺のことなんて心配したってしょうがないと家人には言う。思えば随分身勝手な話だ。