指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

よくわからない。

勉強ができなくても恥ずかしくない (ちくま文庫) 橋本治著 「勉強ができなくても恥ずかしくない」
橋本さんの自伝的小説ということで本当はもっと幼い、十代くらいの人たちに向けて書かれている。実際、もう少し経ったら子供に読ませたい気がしきりとした。主人公のケンタくんがあるきっかけから本を読むようになり難しい漢字が読めることが授業中にわかって自信をつけたり、ローラースケートに独力で乗れるようになったり、と、子供に体験して欲しいエピソードがたくさんあるからだ。でも小学校に入った頃は外で遊ぶ相手がいなかったはずなのに、上級生になると突然「横町」という遊び場が現れて友だちもたくさんできたり、大学に行く気はなかったのに浪人までして大学に進み(しかも自伝ならそこは東大だ。)、そこで学問のおもしろさを知ったり、と、よくわからないところも結構あった。ただし一貫しているのは学校でやるべきことは勉強だけじゃないんだというケンタくんのスタンスで、橋本さんという人は今も変わった人なのかも知れないけど、子供の頃から相当変わっていたんだなと思った。ほとんど先天的に自分にとっての大切なことに気づいているように読める。それは誰にでも真似のできることじゃない気がする。