指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

子供が泣く。

昨夜お風呂から上がってきた子供の表情がさえないので、どうしたのかと尋ねてみた。担任の先生が初めて男の先生になったことは昼間聞いていたけどどうやら恐い先生だという噂があるらしくそれが不安なのと、もうひとつ今学年からクラブ活動が始まるに当たり今日クラブが決まったのだが、第一志望は定員が多くて入れず第二志望で決まったクラブでうまくやって行くことができるかどうか心許ないというようなことを泣きながら訴える。取り越し苦労もいいところだと思ったけど、両方について予めそれほど心細く思う必要は無いということを根拠も含めて丁寧に繰り返し説明した。すると少しは気が楽になったのかその後は何事もなく過ごして普通の時間に寝た。
今日昼食をとりに帰ると子供がすでに帰って来ていたので先生はどうだったかと尋ねると、そんなに恐くないみたい、と答える。だからパパの言った通りだったろと励ました。
子供が住んでいるのは大人とは比べものにならないほど小さく広がりを持たない世界だ。そこでは大人にとっては問題にならないことがほとんど絶望的な重みを持つということがあり得る。自分にも経験があるからわかる。そこは大人が徹底的にフォローしてやる必要があると思う。いつかそれを自分でやらなくてはいけなくなる日が来る。そのために物語ももっとたくさん読ませたい。