指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

読みづらい。

プリンセス・トヨトミ (文春文庫) 万城目学著 「プリンセス・トヨトミ
おもしろくなかった。何しろ激しく読みづらい。「鴨川ホルモー」と「ホルモー六景」を読んだとき勘でこの著者は短編に向いてるんじゃないかと書いた憶えがあるけど短編に向いてるんじゃなくて長編には向いていないという気がする。唐突としか思えない場面転換が繰り返されてその都度物語から振り落とされてしまうのが一点。これはどれだけ模倣と言われようともたとえば村上春樹さんが「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」等で使った手法ですっきりさせることができなかったのか。それからあとがきエッセイ(本編をやっと読み終わったことで疲れ果て全部で百字くらい拾い読みしただけだけど。)によると作者は大阪で生まれ育ったらしいが大阪の地理についての記述が詳し過ぎるのが一点。詳しく書けばわかりやすいかと言えばもちろんそんなことはない。的確に書く文体が無いから詳しく書かざるを得ずだから情報量が多過ぎて読みづらいという事態だってあり得るし、個人的にはそういうものとしてしか読めなかった。それだけ苦労して読み進めて行っても、申し訳ないけどそれほど大した場所にはたどり着けない。「鹿男あをによし」もそうだったと思うけど、物語を終えた後の後処理も長過ぎ、いったいどこまで書けば気が済むんだと終わりが待ち遠しくて仕方なかった。「大阪全停止」も大風呂敷過ぎる。疲れ果てた。
家人曰く、読む方が悪いよ、そんなの。