指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

取り返しがつかないこと。

「あの日」からぼくが考えている「正しさ」について 高橋源一郎著 「「あの日」からぼくが考えている「正しさ」について」
昨年3月11日の震災から今年1月1日まで、高橋さんがツイッターにつぶやいたことと、折々に書かれた小説やエッセイや選評などを時に冒頭だけという形で収めた本。このブログのアンテナにも高橋さんの「時には背伸びをする」が登録してあるけど、そこからも記事が転載されている。そこでいきなり関係ない感想なんだけど、ディスプレイで読むのと本のページに印刷されたものを読むのとではとても印象が違う。簡単に言うと本で読む方がもっとずっと心にしみて来る。あ、そういう趣旨の記事だったんだ、これは、と改めて思ったりして結構驚いた。これは自分の適性と言うか、なんらかの能力の欠如を意味しているのかも知れない。本来ディスプレイだろうが本のページだろうが同じように読めて当然だと思われるからだ。
あの日、被災された方たちにとっては本当に取り返しのつかないことが起こったと思う。そこには僕などの想像を絶するものがあると思う。でも、そんな傍観者みたいな立場にいてもその取り返しのつかなさというのはほんのわずかながら共有していると感じて来た。自分にとってもあれ以来一切が変わってしまった気がして来た。
同じような思いを高橋さんも抱かれているように思われる記述があって、とてもほっとした。問題は、自分も高橋さんのように尚も前を向く力と根拠を持ちうるかということに尽きる。そしてそれはとても難しいことのように思われる。