指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

3月のまとめ。

繰り返しになるのでたたみます。


3月の読書メーター
読んだ本の数:23冊
読んだページ数:5651ページ
ナイス数:4ナイス

季節の記憶 (中公文庫)季節の記憶 (中公文庫)
主要の登場人物のほとんどがかなりなインテリに属すると思う。彼らは認識や世界観や子供の心のあり方などについて談義を繰り広げそれにかなりのページが割かれている。そういう言葉が通用する場だけに閉じこもっている印象ができそうだけど案外そうでもないのは、自然に向かって開かれた描写のせいのように思われる。そこでバランスがとられている。
読了日:03月28日 著者:保坂 和志
復活祭のためのレクイエム復活祭のためのレクイエム
読了日:03月28日 著者:新井 千裕
神様 (中公文庫)神様 (中公文庫)
読了日:03月24日 著者:川上 弘美
彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)彼女がその名を知らない鳥たち (幻冬舎文庫)
初まほかる。この文体で地の文が長々続くと個人的にはちょっとつらくなったりした。ただ設定上そうした文体が必要だということも幾分かあると思う。また一見不思議なことがさりげなく書いてあったりするとこれはちょっと今は解釈がつかないぞと思って複雑でやだなという印象ができてしまうけど、そうした小さな伏線も結局細かく回収されているので安心して読める気はする。逆に言うと生活実感に照らしてちょっと変なんじゃないかと思ったら、ストーリーに流されずにきちんとそれは変だと思い続けていた方がいい。
読了日:03月24日 著者:沼田 まほかる
この人の閾 (新潮文庫)この人の閾 (新潮文庫)
たぶん何かを意識的に避けてるためにこういう風になるしかないんだろうと思う。その避けてるものはたとえば「夢のあと」に出て来る「なんかさあ、『夢のあとみたい』とか言っちゃうと、それで、何か言ったような気になっちゃうけどさあ。でも、本当はそういうのって、何も言ってないのと同じことじゃない」という台詞が言い当てている何かだと思うんだけど、そしてこの台詞をここだけ取り出せば諸手を挙げて大賛成なんだけど、それを中心に置いて小説を書こうとすると明らかに失われる重要なものがある気がして。
読了日:03月21日 著者:保坂 和志
ランドマーク (講談社文庫)ランドマーク (講談社文庫)
希薄さを少しでも追い払おうと自分から不快感を身につける隼人と、希薄さに気づきながら結局手も足も出ない犬飼。ふたりの辿る結末が正反対のベクトルを持つのもまるで不思議ではないように思われる。
読了日:03月21日 著者:吉田 修一
生きる歓び (新潮文庫)生きる歓び (新潮文庫)
あったことしか書かないのにそれが小説作品になってしまうような場所とか方法とかそういうものを作者が探していることは、少なくともこの二編に限っては確かなように思われる。あるいはそうした試みが新しい小説の形になってしまうような事態を作者が目論んでいる、か、でなければ二編に書かれているような「あったこと」は小説でなければうまく造形できないような種類の何かを作者に与えた、ということか。
読了日:03月20日 著者:保坂 和志
草の上の朝食 (中公文庫)草の上の朝食 (中公文庫)
語り手は、原因とそれに見合った結果という因果関係が嫌いだと作中はっきり言ってるけど、これはそのまま作者がこの作品に込めた思いと重なるのではないだろうか。一種の楽園みたいな雰囲気があるけどそれは誤った原因から導き出された仮の結果なのかも知れない。そういう風に言うと何もかもが仮の結果に過ぎないかも知れない。作品だけでなく現実にある世界も。
読了日:03月19日 著者:保坂 和志
夏目漱石を読む夏目漱石を読む
一度だけ聴きに行った吉本さんの講演が収録されている縁もありまずこの本を読み返すことにした。あと何を読み返せばいいんだろう。
読了日:03月17日 著者:吉本 隆明
猫に時間の流れる (中公文庫)猫に時間の流れる (中公文庫)
猫には普遍性はないかも知れないけど猫の影響を受ける日常には普遍性がある。この二作はそんな風に書かれているように思われる。
読了日:03月14日 著者:保坂 和志
待望の短篇集は忘却の彼方に待望の短篇集は忘却の彼方に
中原さんの作品はこれで何冊目だろう。行けそうな気もするけどいつも結局駄目だ。
読了日:03月13日 著者:中原 昌也
書きあぐねている人のための小説入門書きあぐねている人のための小説入門
小説らしい小説などを目指していては到底小説家になどなれないという逆説。まあ、筆者はそれを逆説とは言わないだろうけど。
読了日:03月12日 著者:保坂 和志
ゴッドスターゴッドスター
語り手は密度の高い自意識をまき散らしつつ薄っぺらいことがスピーディーと信じているかのようになりふり構わず先へ先へと進み続ける。するとあるときから語り手は抽象になってしまう気がする。
読了日:03月10日 著者:古川 日出男
女たちは二度遊ぶ (角川文庫)女たちは二度遊ぶ (角川文庫)
十一編のそれぞれに女の子が一人ずつ登場する。よく考えるといやな子なんてひとりもいない。中にはなんらかの問題を抱えてる子もいるけど、それでも彼女たちは誰ひとりいやな感じのする像を結ばない。
読了日:03月09日 著者:吉田 修一
ここに消えない会話があるここに消えない会話がある
「カツラ美容室別室」を読んだときにも思ったんだけど、山崎さんは物語に排除されてしまう言葉や時間に敏感でそれらの大切さをとても強調したいんだなあと思うことがある。
読了日:03月08日 著者:山崎 ナオコーラ
パラレル (文春文庫)パラレル (文春文庫)
著者初の長編小説ということで、なんて言うかこの作者特有の人を食ったような余裕が窺えなかった。いっぱいいっぱいとまでは言わないけど今この作者を特徴づけている(と僕が勝手に思っている)個性みたいなものが希薄な気がした。
読了日:03月08日 著者:長嶋 有
つばめの来る日つばめの来る日
幸せを誠実に追い求めたら男は孤独になるしかないのかも知れない。でもその孤独を打ち破ったところに僕は幸せを見つけて、その代わりに誠実さを失ったことになるのかも知れない。そんなことを思った。
読了日:03月07日 著者:橋本 治
はじめての文学 村上春樹はじめての文学 村上春樹
いつか子供が読む日まで、この本は大事にとっておこうと思う。
読了日:03月07日 著者:村上 春樹
憂鬱たち憂鬱たち
個人的には七編のうち何編か(最低でも二編ほど。)はどたばた喜劇のようにユーモラスなものに読めた。それは作者の意図と考えて間違いないように思われる。これまで読んだ金原さんの作品ではそんなのは他に無い。
読了日:03月06日 著者:金原 ひとみ
「あの日」からぼくが考えている「正しさ」について「あの日」からぼくが考えている「正しさ」について
問題は、自分も高橋さんのように尚も前を向く力と根拠を持ちうるかということに尽きる。そしてそれはとても難しいことのように思われる。
読了日:03月04日 著者:高橋 源一郎
わたしの彼氏わたしの彼氏
かっこよくて好感を抱かせる主人公は(姉たちをも含む)どの女性にとっても「わたしの彼氏」なのだ。
読了日:03月03日 著者:青山 七恵
平成大家族 (集英社文庫)平成大家族 (集英社文庫)
誰もがちょっとお気楽過ぎないか、という気がする。
読了日:03月02日 著者:中島 京子
春、バーニーズで春、バーニーズで
最後に置かれた短編「楽園」だけは連作とは言えないと思う。でも「なのに」に近い、逆接と言うか、逆を行く感じが、それまでの連作と軌を一にしているように思われた。
読了日:03月01日 著者:吉田 修一

2012年3月の読書メーターまとめ詳細
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