指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

バレンタインデイ。

朝からケータイにメールが三通届く。いずれも僕のプロフィールに興味を持ってくれた企業からアクセスがあったことを知らせるメールで、ウェブの再就職支援サービスの会社からだった。一時期この知らせがまったく来なくなったけど最近ウェブに登録してあるプロフィールを細かく手直ししたりしたせいかまたたまに届くようになった。でも日に三社からというのはこれまでで最多。パソコンで確認すると二社は学習塾関係だったけど一社は技術者を募集していて、どうしてそういうことになるかと言うとそのサービスのカテゴリーでは講師と技術者がある種の専門職としてひと括りになってるからだと思われる。また学習塾関係の会社二社の内一社は週末に二次面接を受ける会社と同系列の異なる支店からのもので道義的に言って応募できかねる気がした。
それで思い出したんだけど同じようにアクセスして来てくれたやはり教育関連の企業に何日か前に応募したら、昨日返信があってウェブに登録してあるプロフィールでの書類選考に通ったので面接に来て欲しいということだった。断った生保を除けばこれまででいちばん大きな会社で勤め先はかなり遠いんだけど期待度は高い。面接の予定は来週末。
今日は久々に家人と神保町のいもやに天丼を食べに行った。お茶の水から神保町までゆるゆる下って行く。明治大学は今日あたりは入試なのかな?試験会場を示す看板を見かけた。この前会った親友と共に駿台の夏期講習を受けに初めてお茶の水に下り立ったとき僕はまだ16歳だった。今の自分の子供よりたった五つ年上なだけだ。33年前。彼も同じようなことをメールに書いて来ていたが僕にとってもお茶の水は大きな里程標のひとつに今でもなってると思う。食べ終えた後懐かしい書泉グランデの前を通る。そのときそのときで最良の選択をしたはずなのに結果こうなってしまった、と彼は言った。書泉グランデの本の量に度肝を抜かれた16歳の高校生から今の自分まで線を引いてみるとき、その彼の言葉は本当に胸にしみる。
子供はまだ学校から帰らない。バレンタインデイだけどチョコレートはもらえたんだろうか。