指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

[雑記] 学校へ行きたくない。

理由はひと言では言いづらいけど塾に来ている生徒のひとりが学校へ行きたくないと言って休んでいるとお母さんから連絡があった。割とおとなしめな子なのでまあそういうこともあるかなと僕なりには納得できる気がした。いずれにしても何かと難しい年頃に差しかかってることは確かだし。じゃあ、塾もしばらく休まれますか、と尋ねると塾には行きたいと言ってるということで昨日いつもの時間にやって来た。こういう場合難しいのはその、学校を休んでるということについて僕がケアした方がいいのかそっとしといた方がいいのかということだ。
前にも書いたかも知れないけど学生時代に私塾をやっていたとき中学生だった生徒のひとりが他校の生徒と喧嘩して補導されたことがあった。そのことはやはり塾に来ていた同級生から聞いたんだけど補導された子は多少お調子者の面があるにせよ性格的にも明るく、友だち思いの気持ちのいい男の子だった。(ただし勉強が嫌いで成績はまるでふるわなかった。)だからきっと友だちがらみのトラブルか何かで義侠心(?)みたいなものに駆られて矢面に立ったんだろうと思われた。自分からわざわざ何か問題を起こしに行くタイプとは思われなかった。
驚いたことにその夜補導された子のお母さんから電話があり、どうしたらいいんでしょうと相談された。生徒の勉強を見てやってる一学生に過ぎないしその質問に自信を持って答えるのはやや手に余る気がしたが、お母さんがひどく動揺している様子だったので自分の思うところを述べここは親の側も子供を信じてやれば何も問題は無いと思う、と答えた。
そのときはお母さんからはっきりと意見を求められたのでそうしたけど今回は微妙な気がした。僕は毎回授業の冒頭に、学校で勉強がどこまで進んだかを生徒に尋ねることにしている。そう尋ねられても学校を休んでいるので答えられないから塾のペースで進めて欲しいというのがお母さんが僕に伝えたい趣旨だったし、それは学校を休んでることを僕に知らせる根拠としては充分で、裏を返せば暗に生徒のケアをして欲しいと依頼しているかどうかは不明と思えた。でもまあ対人関係では余計なことはしないに限る。普段通りに勉強を教えたらとても楽しそうだったので、そのことをお母さんにメールで知らせただけだ。