指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

まだお元気だった吉本さん。

吉本隆明が最後に遺した三十万字〈上巻〉「吉本隆明、自著を語る」 吉本隆明が最後に遺した三十万字〈上巻〉「吉本隆明、自著を語る」
遅れて来た吉本信者にとっては著書一冊一冊の位置づけが大変明快にわかって有益なインタビューになってると思う。インタビュアーの渋谷陽一さんの言葉がまたとてもわかりやすい。花田清輝との論争についてや「超西欧的まで」は編集者がつけたタイトルで吉本さん自身には異論があるなど、裏話も楽しめる。初出は「SIGHT」というロッキング・オンの雑誌の2004年から2009年までとなっていて吉本さんもまだとてもお元気なように感じられる。

(前略)吉本さんは、掛け値なく、わたしがいちばん影響を受けた人だ。わたしにとっては、それだけ書けば十分なようにも思えるし、それしか書くことがないような気がするときもある。
(後略)

この本の最後に置かれた「十四歳の思想」という短い文章の中で高橋源一郎さんはそう書かれている。その言葉を読むとものすごくうれしい気も、ものすごく悲しい気もする。