指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

恐い夢。

どこかの建物の二階にいる。階段を下りて行くと一階の天井から知人が首を吊ってぶら下がっているのが見える。静かに揺れているのでもう死んでいるものとも思われるが、首吊り死体はもっと激しい損傷を受けるとも聞いているので、もしかしたらまだ息があるのかも知れない。いずれにせよ天井が高くて助けようにも助けられない。そう言えば仕事がうまく行ってないと聞いたことがあるので、自殺なのかも知れないと思う。すると、知人の首がいきなり縄からはずれて体が床に落ちて来る。知人は苦しそうに床を転げ回りながら口から血を大量に吐き出している。そこで目が覚めた。
何かの作業をしている。奇妙な作業だ。紙に十数本の線分が描かれていてそれらの線分の先を線でつなげて多角形をつくるという作業。線分の固まりはたくさんあって作業は何人かで行われている。そのうちのひとりが僕だ。グループの内の背の高い男がどうやら僕を憎んでいるように感じられる。理由はわからないがこちらを見る視線にとても冷たいものがこもっている。休み時間になってやめたはずの煙草を手にするが火をつける道具が何もない。広い部屋の中を探し回る内にいつしかあたりに人気がなくなりあの男がこちらに向かって突進して来るのが見える。右手にナイフを持っている。僕が二、三歩後ずさりする間に彼は僕に身を寄せて斬りつける。ナイフの刃の感触が肌に感じられた瞬間目が覚めた。
悪夢は昼間の明るい中で思い返すと自分とは無関係な異世界の出来事のように感じられる。でも悪夢を見せる何かは僕の中にしっかりと根を張り、こちらを脅かす機会を狙っている。悪夢から逃れる術はない。と僕には思われる。