指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

日曜日の掃除。

前にも書いた通り塾の掃除をしているときがいちばん気が休まるという時期がつい最近まで割と長く続いた。うまく説明できないんだけど生活の中で塾だけが希望なこと、何も考えずに体を動かしていられること、掃除という行為自体が前向きなイメージを持ってることなどがその理由だったんじゃないかと思われる。取りつかれたように多いときには週に四、五日掃除していた。それがほんとについ最近のことだけど掃除面倒だなあと思うようになった。実際に回数も減り今は週に一度日曜日にやや丁寧にするだけだ。そしてそんな風に掃除への依存みたいなのを抜け出してみると当時の心の状態が本当に暗く救いの無いものだったんだなということが改めてしみじみ実感される。今だって決して枕を高くして寝られる訳じゃないけど少なくとも最悪の事態は脱したように無理に思おうとすれば思えなくも無い。それだけでも随分マシになったということだと思う。外に出て窓ガラスを拭いていると近くに住んでる生徒さんが通りがかって、あ、先生、と声をかけてくれる。こんにちは、と互いに挨拶を交わす。