指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

やめる。

ちょっと特殊な生徒さんなのでひとりだけ時間をとって個別に教えていたのが、特殊な学校へ進学するための専門の予備校へ行くことになりついてはうちの塾はやめたいとおうちの方がわざわざ訪ねて来られた。今は普通の公立校に通っているんだけどとても勉強にはついて行けてなくてそれはもう端から見ていてもそうだろうなあと納得するしかないような状態だった。自分に合った学校へ行くことで本人の将来が拓けるならもちろんそれに越したことはない。正直少し肩の荷が下りた気もする。
程度の差こそあれそういうちょっと特殊な感じの生徒さんというのは意外に多くてうちの塾だけでも何人か見受けられる。割合として10%は軽く越えると思われる。僕としては楽しいとまでは言わなくても通うのがそれほどいやじゃない塾を目指していてそれはまあまあうまく行ってるんじゃないかと思ってるんだけどそういう生徒さんの中には何しろ勉強が苦痛でだから塾へ通うのもいやでいやで仕方なく、半年ほどでやめてしまった生徒さんもいた。そうかと思えば専門の病院できちんと診てもらいある種の障害があるという診断を受けながらも他の生徒さんの何倍も努力して教科によっては得意と言ってよい成績をとる生徒さんもいる。そんなポジティブな子とやめてしまった子を分けるのはこれはもう一にかかって親が自分の子に問題があることを認める勇気を持つか持たないかだ。同じ親としてそういうことを認めるのはとてもつらいだろうとは思う。気の毒にも思う。でもそれを認めなければ何も始まらない。その子を救えるのはその子の親だけだ。
始めに書いた生徒さんのおうちの方も最初は認めたがらないようだったけど最近になって考えを変えたようだ。それが具体化されて今回の進学先の決定になったのだと思う。とても大きな前進だ。その子の将来に幸多かれと願う。