指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

正直な営業。

少し前にウェブ関連の営業から電話がかかって来て、サイトのアクセス向上につながる方法があるから話だけでも聞いてくれと言われた。そういうのは月に決まって何件か来る話なので普段は断るんだけどたまたま今頼んでいる広告会社との契約が切れるタイミングから始めていいということだったので来てもらって話を聞いた。検索文字列に関するロングテールという方法で、より幅広い検索文字列に対して検索結果のできるだけ上位に自分のサイトが表示されるようにするということだった。話としては興味深かったけどたとえ一ページ目に表示されたとしてもページの上の方に分厚く固まっている広告サイトをかいくぐって見てもらえるようになるかが疑問だった。それに僕は元々広告としてのウェブサイトの力をあまり信用していない。はっきり言うとクライアントよりサービスを提供する業者の方に利益が出るようになっているんじゃないかというのが二十年近くインターネットを使って来た正直な実感だ。営業は随分食い下がったけど昨日電話でアポを取って今日初めてやって来て契約が取れるほど世の中甘くてもいけないんじゃないかと思い断った。
それから数日後に別の業者から電話がかかって来て最近はSEO対策もあまり流行らなくなっているという話の後、ロングテールってお聞きになったことありますかと言う。多様な検索文字列に対応して検索結果の上位に表示されるようにするあれでしょう、と答えると、それの案内だと言う。それで自分はもう15年以上もコンテンツをつくっているけどインターネットの実効性には疑いを持ってること、たとえ一ページ目に表示されたとしてもそこからの道のりはまだまだ遠いこと、つまり費用対効果があまり見込めないんじゃないかという話をした。儲かるのは常にクライアントより業者ですよねとも言った。すると相手はあっさり諦めて確かにロングテールなどでアクセスが上がるかわからないみたいなことを言い始めたのでびっくりした。それから少し雑談して丁寧な対応をしていただいてありがとうございましたと言って相手は電話を切った。営業としてはどうかと思うけど正直な人であることは確かな気がした。少しだけ心が和んだ。