指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

遊びに行く。

パパには言わないで欲しいという子供の希望だったそうだけど後で家人がこっそり教えてくれたところによると、告白してくれたその女の子ともうひとり、子供の小学校の同級生で今はやはり同じ部活に入ってる女の子とうちの子の三人で先週の日曜日遊びに行ったらしい。朝早く出かけて行って夕方まで帰って来なかったので、それなりの時間を一緒に過ごしたものと思われる。女の子たちは楽しかったらしくまた誘ってくれて今日はもうひとりやはり子供と小学校が同じだった女の子を加えて四人で遊びに行った。
そういう年になればあの子は絶対もてるようになると思ってたと家人が言うのでどうしてと尋ねると、そういう風に育てたからと答える。家人は男らしさという価値観がとても嫌いで百害あって一利無しと日頃から言っていて、それは長い間九州男児にさんざん手を焼かされて来たかららしいんだけど、そう言えば確かに僕もあまり男らしい方ではなく子供の頃から泣き虫だったし今でも竹を割ったようなところは少しも無くていつも思い悩んでばかりいる。ただ家人の目にはそういう方が好ましく映ったらしい。それで子供にも男らしさだけは押しつけず、事ある毎に思いやりとか優しさとか想像力とかいうものを大切にする方向へ引っ張って来たと言う。そう言われてみると僕も無意識にそういうものが培われるといいなと思ってた部分があり、特に話し合った訳でもないんだけど子育ての方針については夫婦で意見が一致していたと言っていいかも知れない。それから家人は一緒に遊びに行った中で小学校が同じだったふたりについても、たぶん子供のことを憎からず思ってるんじゃないかと言う。まじかよそんなもてんのかようちの子。でもそういう言い方をするときの家人の判断力は信頼していいと思ってるのでおそらくその通りなんだろう。だってそうじゃなきゃわざわざうちの子なんか誘ったり新たな子が着いて来たりしないだろうし。でも問題はね、と家人が続ける。女の子女の子した子がひとりもいないの、気が強そうなのばっかりで。なるほど、そういうことですか。