指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

いろいろなことが変わって行く。

バイトは決めかねているうちに時が来て、同じ業務を引き継ぐ別の会社の厄介になし崩し的になることになった。なし崩し的に、というのはでも新しい会社にとってフェアな言い方ではなくて、僕が優柔不断な態度しか取れなかったのでそういうことになったという意味だ。十数名いたスタッフのうちで同じように次の会社に引き継がれたのは五名だけで、あとは前の会社の別の現場へ行ったり自分で探してきた他のバイト先に行ったり仕事はいったん辞めたりとそれぞれの道をたどって行く。最後の日には皆さんにどんなお別れを告げたらいいか随分迷ったけど最低でも僕より十数歳年上の女性ばかりのスタッフたちは仕事上での集合離散になど慣れっこらしく、はいはい、じゃあね、みたいな感じで別れて連絡先も知らないのでおそらくもう一生会わない。そうなるとこの会社でここの掃除機がけをするのはこれが最後、モップがけもこれで仕納めなどといちいち数え上げて来た自分はやっぱり感傷的に思えてくる。新しい会社では作業着も一新して仕事の内容も変わった。前の会社はできうる限りの備品を撤収したようでモップも前日ひそかに別れを告げた愛用の掃除機も洗濯機も無くなっていた。スタッフも三分の二が知らない顔だ。初日はミーティングがあったらしいが僕は春期講習のためにいつもより数時間早く上がらねばならず出られなかった。さて、どうなって行くんだろう。
急にスマホになった。塾にはインターネットを引いてなくて調べ物があるときは家人に連絡して自宅で調べてもらっていて僕としてはそれで一向に痛痒を感じなかったんだけどなんかキャンペーンで安いし子供も含めて三台同時に乗り換えると得だからと家人に言われて急遽スマホにすることにした。家人は特にお金に関しては慎重な人なのでその人がゴーサインを出すのならという信頼感もあった。ところがこの乗り換えが大変でキャンペーン期間中で混んでいたこともあるんだろうけど待ち時間まで含めて三時間くらいかかったんじゃないだろうか。元々銀行などでの手続きというのが本当に嫌いでそれでもここ数年否応なく銀行とのつき合いが増えてだいぶ慣れて来たと思っていたけどスマホの乗り換えはその上を行く大変さでほとほとうんざりした。本当に安くなるかどうかは少し経たないとわからない。使い勝手はどうかと言うとたとえばナズナは離弁花類か合弁花類かを調べようとナズナの花の画像を探すとあっさり見つかって便利と言えば便利。ただしメールソフトはよくなくて相当使いづらい。生徒さんによっては保護者の希望で塾に着いたときと帰るときにその旨メール配信してるんだけど、ガラケーの方がずっと使いやすかった。これは大失敗なんだけど今さらどうすることもできない。でもラインとSMSと、メール以外にふたつの連絡方法が手に入ったことは便利だし、家人が探して来てくれた糸井重里さんのMOTHERの画像がスマホの壁紙になったのはすごくすごくうれしい。