指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

それは違う。

バイ貝

バイ貝

貨幣は鋳造された自由である、というドストエフスキーのものとされる言葉から始まる。でも語り手はその言葉の解釈をおそらく意図的に間違えている。ドストエフスキーが言っているのは貨幣=自由ということなので、この作品にあるように金を使うことが自由なのではなく金を使わずに持っていることの中に自由があり、持っている金が増えれば自由も増大するという解釈が正しい。だから語り手の意図は始めから間違いであり矛盾をはらんでいる。だとすれば後は語り手の意図が破綻するまでのプロセスが書かれていると予測するしかないし実際それで大筋合ってると思うしそれを楽しめればいい。たぶん、作者のファンでなければ手に取らないし作者のファンでなければおもしろみも感じられないんじゃないかと思う。・・・その一行だけ書けば、感想としては充分だったか。