指栞(ゆびしおり)

すまじきものは宮仕え。

悲しい。

主人公は若い女の子で写真家だ。と書くとこの前読んだ「私の中の男の子」が思い出されるけどその主人公、雪村のプロトタイプがこの作品のニキになるかも知れない。容姿にあまり自信がなく女の子と定義されることを嫌い徹底したプロ意識で自らの仕事に当たっている。違いがあるとすれば雪村ほどの徹底ぶりがニキには無いところと、雪村の恋が退けられたのに対してニキの恋が受け入れられた点だ。そしてそのふたつがニキを雪村よりずっと悲しい場所へ連れて行く。それは本当に胸にしみ通る悲しさで読んでから何日かの間世界のどこかで今もニキが涙を流し続けている気がした。悲しい小説は嫌いじゃないけどこの悲しみはトラウマのようにしばらく心に残るに違いない。