- 作者: 山崎ナオコーラ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/09/26
- メディア: 単行本
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四兄弟でひとりだけ出自が微妙と言うと「カラマーゾフの兄弟」が思い出される。で長男鼓太郎をドミートリー、次男ハッコウをイヴァン、三男瞳をアレクセイ、出自の異なる昼田をスメルジャコフに見立ててみようとしたけど、得られるものは大して無い気がした。「カラ兄」ではイヴァンが父親殺しに最も近い存在で、その意を汲む形でスメルジャコフが実行犯であるように書かれている。それに似て本作ではハッコウと昼田の関係が深いが、どう考えても父親殺しの主題とは関係なさそうだ。・・・無いよね、たぶん。
それ以外にふたつの観点から大変興味深く読んだ。ひとつは自分も書店営業をやってたことがあるので、本の売り方や書店のあり方というものを結構まじめに考えた経験に照らして。特に書店の棚づくりや平台の構成などについては、鋭い考察がたくさんあって興味が尽きなかった。あと、売り上げを示すスリップがたくさんあるととてもうれしいこととか、コアなところで共感した。
もうひとつは舞台がほぼ吉祥寺と特定できて土地勘もあるし親近感を抱いた点。駅前にできた「書籍一番」はまんまブックファーストのことだし、伊勢丹の跡地にできたのがコピス吉祥寺で中に入った書店はジュンク堂のことだろう。吉祥寺のジュンク堂立ち上げには仕事で少しだけ関わったし、その頃のことが書かれていてなんだか懐かしかった。超個人的な読み方なんだけど。