指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

物語をくぐらせる、物語を受け入れる。

みみずくは黄昏に飛びたつ

みみずくは黄昏に飛びたつ

物語をくぐらせるというのがとても印象に残る言葉だった。それが勢いのある言葉をつくり出す方法。それから物語をありのままに受け入れること。分析するのではなくあくまでありのままに。それはとても難しいようでいてもしかしたら最もシンプルで誰にでもできる読み方なのかも知れないと思った。部屋の片隅で壁に背をもたせかけて何冊もの絵本を順々に読んで行った幼い頃、僕たちは確かに物語をそのままに受け入れていた覚えがある。分析などしなくても味わうことができていた気がする。いつから僕たちは分析しなければならないと思い込むようになったんだろう。それはもしかしたら読むこととはまったく別の営為かも知れないのに。