- 作者: ジョンニコルズ,John Nichols,村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2017/04/28
- メディア: 文庫
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「卵を産めない郭公」も同じ系列のお話として受け取ることができると思う。ひどくエキセントリックな女の子だ。語り手はそのエキセントリックさのために彼女を愛し(そこにはかなり複雑な心の動きが秘められていたが)結局はそのエキセントリックさ故に彼女にうんざりしてしまう。でもおそらく彼女が彼に求めたのは自分を理解してもらうことではなかった。他人に理解してもらうには自分がエキセントリック過ぎることを彼女は充分自覚していた。そして彼女の方は語り手を絶望的に愛していた。だから彼女は彼女なりに語り手に懸命に譲歩しようとしているように見える。自分が自分であることで彼に迷惑をかけてしまうことに傷つき困惑しながら。その姿が本当に悲しかった。
この作品の彼女ほどではないにせよ別れた昔の彼女もかなりエキセントリックだった。そして一貫して自分を理解し受け入れることを僕に求めていた。結構努力したけど結局そういうことはできなかった。初めからできる訳なかったんだけどそれができると錯覚するほど愛というものを信じていたのかも知れない。