- 作者: 高橋源一郎,辻信一
- 出版社/メーカー: 大月書店
- 発売日: 2018/11/19
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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可能だ、というのが本書のおふたりの結論だ。たとえば十字架に磔にされたイエス・キリスト、彼がそうされたのは自分の罪でなく人々の罪を背負ったからだった。そこにはイエスから全人類への愛の「贈与」がある。キリスト教が世界性を獲得して行くにつれその「贈与」の部分が忘れ去られ、マックス・ヴェーバーが「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」で発見したようにキリスト教と資本主義は歩調を合わせ、従ってキリスト教でさえ「等価交換」の思考法にとらわれて行く。でももともとの神の愛は「贈与」でありそれは「等価交換」のシステムからはみ出した「雑」なるものの例なのだと。
こうした議論はしばしば「雑」と非「雑」の二元論となってしまい、我田引水に過ぎる展開に陥りやすいと思うんだけど本当はどうなのかという判断は高橋さんの新作を待ちたい。僕は連載は読まないので単行本になるのを待つと数年先になるらしいけど。