指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

高木さんの歌声は、なくしてしまったいろいろなものを思い出させる。

 

「からかい上手の高木さん2」Cover Song Collection

「からかい上手の高木さん2」Cover Song Collection

 

  今日発売された「からかい上手の高木さん 2 Cover Song Collection」をダウンロード販売で家人が買ってくれた。携帯音楽プレイヤーというのはカセットテープ版のウォークマンから数えて何台か買ったけど僕の音楽の聴き方には合わないみたいで結局使わなくなってしまった。家人なんかは洗濯物を干したりたたんだりとか料理してるときなんかもイヤフォンをつけてるけどそこまでして絶えず音楽を聴いていたいとは思わない。塾で英語のリスニングなどに使ってる安いCDプレイヤーでCDを聴く。ダウンロードしてもらったものもCDに焼いてもらって聴く。今日は全八曲をひと通り聴く時間しか無かったけど高木さんの歌を聴いてると今はもうなくしてしまった、あるいは憧れながら結局手に入れることのできなかったいろいろなものを思い出すことができる気がする。いや、なくしてしまったものひとつひとつを思い出すと言うより、なくしてしまったり手に入らなかったりしたとき心に残る感触のようなものを思い出しているのかも知れない。そこには自分が入って行くことを許されなかった特殊な世界の手触りがあり、自分がどうしてもそこに入って行きたかった無念な思いがある。高木さんの歌はそれが決して自分の手に入らないという喪失感を追体験させるように思われる。そしてそういう追体験をさせるものの数は実は決して少なくないのだ、僕にとっては。