指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

ちょっとお休み。

フォーク歌年鑑 1978

フォーク歌年鑑 1978

 

  再読もエッセイ集や紀行文のエリアに入って来ると酔っ払って読んでも内容を結構覚えてるしなんなら忘れてしまっても別に構わないのでそうなると読むのが面白くて午前二時とか三時とかまで起きて読んでいる。それで寝不足気味になったのでしばし読書はお休みにしてみた。それで何をしてるかと言うと図書館でCDを借りて来ては聴いている。特にその人のファンという訳ではないんだけどこれだけはすごく好きという古い曲がいくつかあってそういうのを検索しては借りて来る。たとえば矢沢永吉さんの「時間よ止まれ」とか久保田早紀さんの「異邦人」とかサーカスの「Mr.サマータイム」とかイルカ(もしくは伊勢正三さんのいた、風)の「海岸通り」とか挙げ始めたら切りがない。この前NHKで「時間よ止まれ」の誕生秘話みたいのを矢沢さん本人が語る企画が放映されていて個人的に手に入れたばかりの曲ということですごく興味深く見た。それはさておきこういう曲集めをするのに向いたCDのシリーズを図書館で見つけた。「フォーク歌年鑑」といって1960年代後半から80年代前半まで年ごとに編まれている(もっとあるのかも知れないけどとりあえず区立図書館を検索するとその年代のものしか出て来ない。)。もちろんその一年を完全に網羅したものではなく死角もたくさんあるんだけど逆にこちらの死角に入った曲を教えてくれたりしてそういうのも楽しい。さとう宗幸さんの「青葉城恋歌」とか岸田智史さんの「きみの朝」とかばんばひろふみさんの「sachiko」とかノーマークだったけどそのシリーズで見つけて今聴いてもすごくいい。歌詞だって全部覚えてる。それから大発見だったのがベッツイ&クリスというデュオの「白い色は恋人の色」。これはテレビで観た記憶がうっすらとあるけど僕は就学前だったはずだ。外国人女性ふたりでやや片言の日本語で歌うんだけど本当にきれいな声だし歌も上手い。一曲だけのリピートにしておいても三十分くらいは聴いていられる。ただし逆のケースもあって当時大ヒットしたからすごく期待して聴いてみたらすでに聴き飽きていたということもある。さらにその逆もあってもう聴き飽きてるだろうと思ってたのに改めて聴き直すと全く聴き飽きてなくて今でも心にしみ通る曲というのもある。これはもう聴いてみなければわからない。アーティストと曲名だけで、ああ、あれかと曲は思い出せるんだけどそれが自分に今も必要かどうかは何度か聴かないと判断できない。その作業はもちろん楽しいんだけど結構時間がかかる。だから借りてきてとりあえずパソコンに取り込んだだけで保留にしてるデータも多い。聴き飽きた曲が再生リストに混じってるとその度飛ばさなければならずそれが割と面倒だから聴き飽きてるかどうか慎重に判断してだめならリストからはずす。なかなか手がかかる。
 家人と子供は携帯音楽プレーヤーをそれぞれ持っていて家人はイヤホンで子供はSONYの結構本格的なヘッドフォン(しかも先代が壊れてしまって二代目)で好きな曲をうちでも聴いてるんだけど前にも書いたとおり僕も何台かそういうプレーヤーを試してみたけど(カセットテープ用のウォークマンを二台とミニCD用のプレーヤーを一台、それに初代のiPod Shuffleと計四台だから割に長い時間をかけて何度も真剣に試してみてはいる。)結局どれにもなじむことができなかった。今は諦めて英語のリスニングのために塾に置いてるちっちゃなCDプレーヤーで聴く。結婚したときにもう少し高価なミニコンポを買ってそれにミニCDのデッキがついていたのでふたりでレンタルショップに行っては気に入ったCDを借りて来てミニCDに録音して本当によく聴いた。それでミニCDが百枚くらい、もうプレイしなくなったゲームソフトと一緒に磨りガラスの入ったドアつきの物入れの奥にしまってあるけどあれはいつか整理しなければならないんだろうな。そのコンポは始めテレビと一緒にテレビ台の上に置いてあったんだけどあるときテレビを買い換えたらテレビが大きすぎてテレビ台に乗らなくなりベッドのヘッドボードに移動し何年か子供を寝かしつけるのに使われた。宇多田ヒカルさんの「Traveling」とか聴かせるとすやすや眠ることがあったからだ(もちろんそんな簡単に寝ないことの方がずっと多かった。子供を寝かしつけるのは本当に大変だった。)。そのまま今もそこにある。でも結線は全部はずされてかれこれ十年以上は使われていない。つなげば今も使えるんだろうか。これが使えないとなるとミニCDを聴き直す手段はなくなる。大体ミニCDがこんなにすぐに廃れてしまうなんて当時は夢にも思ってなかった。
 秋になったので例によってオフ・コースのベストも聴いてるんだけどこれに収録されている「Yes-No」はアルバム「We are」のバージョンだ。ところが「フォーク歌年鑑」に入ってる同曲はシングル・レコードのバージョンでほんのちょっとの違いなんだけど味わいが格段に違った。だから初めはカットするつもりだったんだけど思い直してリストに入れてすごく懐かしい思いで聴いている。そういうこともあってこの「フォーク歌年鑑」は個人的にすごく価値あるものになっている。