指栞(ゆびしおり)

すまじきものは宮仕え。

アンという名の少女。

 NHKで「アンという名の少女」というカナダのドラマの放映が少し前に始まった。このタイトルだけではあるいはなんのことだかわからないかも知れないけど原題は「ANNE WITH AN "E"(「E」の字のついたアン)」ということでファンならこれが「赤毛のアン」の主人公が自分の名前に対して持つこだわりであることにすぐ気づくだろう。個人的に「赤毛のアン」は日本アニメーションがつくったテレビシリーズと村岡花子さんがなさった邦訳ですべて終わっているので映画化とかドラマ化とか特に興味はないんだけどどういう訳か家人が観たいと言うので一緒に観ている。個々の俳優さんのイメージについてはこれはもう完全に主観の問題なのでつべこべ言ってもしょうがない(でもダイアナ・バーリーは本当にひどい。ひどすぎると思う。)。それよりひっかかるのは演出の方で、原作に「based on(基づく)」とあるので原作にない演出がある程度含まれるのは予想されるところだけどその原作にない部分が物語をすごくシリアスで暗いものにしている。これからアンは様々な困難に立ち向かう訳だけどそのいちいちにこういう負のバイアスがかかって来るのだとしたら悪いけどとてもつき合いきれない気がする。村岡さんの邦訳は物事がこうまで暗く深刻になってしまう前に救いの方へ突き動かされて行く展開を(ギルバートの頭で石版を叩き壊したときとマシューの死の場合とを除いて。)描いているし日本アニメーションの作品もその雰囲気をきちんと読み取った上で忠実に再現できている。今回どうせアンをやるなら今までとは異なった何かを付け加えなければ意味がないという制作側の自意識が感じられるけどそんなつまらないものを実現させるくらいならあっさり企画倒れにして別の作品をつくった方がよほど気が利いている。こういうことを言うので家人からは原理主義者呼ばわりされているんだけどまあそう言われてもある部分仕方ないのかも知れない。