指栞(ゆびしおり)

すまじきものは宮仕え。

また面接に行く。

 最寄りの駅周辺でなんとなくアルバイトを探し続けてもう一年が過ぎた。この間に確か四回採用になったけど結局どこも気が進まずに辞退した。ところが最近辞退する余裕がないほど経済的に逼迫してきたのでちょっと本腰を入れて探し始めた。ただし最寄りの駅の近くではもうほとんど清掃かマンションの管理人か保育士か高齢者のケアしか仕事がない。管理人と言っても基本はゴミ出しと共用部の清掃だから清掃の仕事と変わりないしそれはもう前に一度やって懲りたと言えば懲りた。保育士は資格がないし高齢者のケアもできることなら避けたい。(大体人と関わるのが得意じゃない。)ということで少し範囲を広げて探してみた。するとウェブ通販の会社の仕事が二駅ほど離れたところで見つかった。メールを使っての受注業務から発送業務までを任せたいとのことだった。通販のサイトなら前の会社で社長の鶴の一声の下まるで見通しも勝算もないままに全部で三つもつくらされたことがある。他にスタッフがいなかったのでコンテンツの制作からCGIの設置から受注から在庫管理から発送からデータ管理まで全部ひとりでやった。ウェブ裏技さんのカートのシェアウェアを使ったときは楽だったけど会社で購入した通販のソフトウェアを使ったときは大変だった。商品登録をCSVファイルで行わなければいけないんだけどこのCSVファイルを当時の社長がつくりたいと言うのでまあ少しは助かるかなと思ってお任せした。ところがこのデータが間違いだらけで(あれだけ雑な仕事でよくプログラムなんか書けたもんだと感心する。)間違いがあるとファイルの読み込みが止まってしまう。止まるとCSVファイルを開いてどこがどう間違ってるかを何百点もある商品データの中から探し出して修正した上また一から読み込ませ直さなければならない。いちばん多かったのは半角で登録すべき文字列を全角で入力してるというケースでどうやら半角と全角を適当にごっちゃに使ってるらしい。(それだけ雑な仕事で以下略。)この作業にものすごく時間と手間がかかったんだけど社長にもっとちゃんとやれと差し戻す訳にも行かないしひとりで徒労感と戦いながらそれでもこつこつ直してるとデータを出したのになぜサイトに反映されないのかと当の社長からせっつかれたりしてあれは本当につらかった。(この社長とは今から思えばもともと馬が合わなかった。)売上げだって大したことなくて結局三つとも閉鎖ということになった。残ったのは見切り発車のサイトがどれだけ無駄な作業を必要とするかという教訓(それは本当に膨大な作業だった。)と通販サイトの基本的なあり方と流れに関する知識だけだった。でもまあ後者はうまく行けば今回生かすことができる。何事も経験だ。
 履歴書と職務経歴書をメールで送れということだったので送ったら電話がかかってきてダブルワークが希望なのかとか時給のこととか時間帯のこととか基本的なことを確認されその後メールで面接の日時の候補がいくつか送られてきた。その中から今日を選んで出かけると全部で十名足らずの会社とのことで直接社長との面接だった。採用担当者がいるんだと思ってたのでこれにはちょっと驚いた。社長以外は全員女性でしかも年齢は四十代までらしい。こりゃちょっと無理かと思ったし最初は確かに好感触ではなかった。ただすごく回りくどい言い方で三十分近く説明されてやっとわかったのは要するに、うちの会社で満足なのか、もう少しいい条件の仕事を探したいんじゃないのか、ということのようだった。確かに時給は都の最低賃金に限りなく近い。でもパソコンを使った仕事は全然苦じゃないし通販サイトの経験も生かせるしウェブサーバを扱うところまで含めた仕事というのは探すと結構珍しくて貴重な気がする。時間もかなり融通が利くようで慣れたらリモートワークもできると言う。バイトに対する僕の偏った要望をかなりな程度満たしてもらえている。うちからは最初の想定よりだいぶ遠いけど通えないほどじゃないし交通費ももらえる。雑用みたいな仕事になるけどと言われたけど今までのバイト先でも常にいちばんの下っ端でいいように人に使われてきた訳だから別に気にならない。改めてこう書いてみると正に願ったり叶ったりの職場みたいに思えて来る。
 という訳でこちらとしてはなんの不満もないということを伝えた。それでできれば来て欲しいけどまだ面接希望者が残ってるので数日待って欲しいというところまではこぎ着けて帰ってきた。今週中には結果が出るそうだ。採用になるといいなと久々に思っている。
 面接後その辺をぶらぶらしてた家人に電話して待ち合わせこの前テレビで観たSUBWAYのピザサブを食べに行った。結構並んでたけど僕たちが並び始めてからさらに列が伸びたのでまあラッキーな方だったかも知れない。ふたりともベーコン・イタリアーナにしたけどこれは本当においしかった。次はまた別のを食べに行きたい。