指栞(ゆびしおり)

すまじきものは宮仕え。

何を食べよう。

 用があって三省堂書店の神保町本店へ。御茶ノ水駅は僕にとっていつまで経っても特別な駅だ。さだまさしさんの「檸檬」の舞台になった駅だから。それもあるけど高二のとき駿台予備校の夏期講習を受けに親友のSSと一緒に初めて降り立った駅だからだ。それから高校を出た後彼と共に二年間の予備校生活を過ごした街だからだ。四十年近くが経つ今も何ひとつ変わってないように見える。もちろん明治大学の校舎は立派に建て直されたし以前はなかったカラオケ屋が建ったりコンビニができたり細かく言えばいろいろ変化はある。でも御茶ノ水駅から神保町へ下って行く道は基本的に昔のままのような気がする。楽器屋とカレー屋が軒を連ねている。「リーパス」というタイトルのジュブナイル向けの懐かしい読み物の本を安く買った古本屋もそのままある。大きなスポーツ用品店もずっとそのままだ。そして坂を下りきった先にある三省堂書店。よく見ると建物も相当古びている。僕らが予備校に通ってた頃はなぜか営業をしてなかった記憶がある。個人的には書泉グランデと古本屋街の方がなじみが深い。用を済ませてまた坂をお茶の水まで上がって行き左側のファミマの中にあるサブウェイで昼食を買って帰ろうと思ったら営業時間内なのになぜかサブウェイの店舗が閉まっていた。さあ困った。家人がすずらん通りの方にリトル・マーメイドがあったと言うのでそれじゃそこでお気に入りのサンドイッチを買って帰ろうということになってまた長い坂をゆるゆる下りて行く。でもリトル・マーメイドにはお目当てのパンはなくて狭い店内を一周しただけで外に出た。さて何を食べよう。ごま油のいいにおいのする天ぷら屋がある。いつも行列ができていたキッチン南海の跡地は駐車場になっている。ガストがやってる唐揚げ屋がある。その唐揚げ弁当の値段を見てるうちさっき通り過ぎた天ぷら屋のテイクアウトの天丼弁当がすごくリーズナブルに思えたのでそれが食べたいと言うと家人もそれでいいと言うのでまた道を引き返して買ってから荷物も重いしもうお茶の水まで上って行くのが億劫に思えたのでそのまま神保町駅の方へ通りを抜けて行く。途中のドラッグ・ストアに入るといつも飲んでる缶酎ハイが割に安かったので買って長い階段を下りて神保町の駅から地下鉄に乗った。最寄りの駅まで帰って来ると駅前で少しだけアテを買い帰宅する前に荷物を置きに僕だけ塾に寄るとバイトを終えた子供がいる。これから友だちとラーメンを食べに行くと言うのでそこに残して帰り例によってふたりで一杯やってから天丼を食べて昼寝。風がすごく気持ちのいい半日だった。