指栞(ゆびしおり)

前にも書いたかも知れないけど。

遠い街角。

遠い街角(The wanderin' street)

遠い街角(The wanderin' street)

  • 発売日: 2019/12/20
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 LGBTを連想させる若い女の子のペアが一緒に暮らす中でのいくつかの場面をつづったユニクロのCMを最近よく見かける。CMもここまで来たかと驚くべきなんだろうと一方で思いながらむしろふたりのその自然なあり方に個人的にはほとんど違和感を抱かずに見てることに気づかされる。それはLGBTに偏見を抱くべきではないという押しつけられた倫理観から来てると言うより描き方、語り口の秀逸さによってるという気がする。つまりそれは相当考え込まれた構図をこんな風にぱぱっとつなぎ合わせることによって初めて達成される自然さと言うか無理のなさのように思われる。不快感などみじんもない。むしろこのふたりがいつまでも幸せに暮らせたらいいなあという思いすら抱かされる。一方他の企業のもので実際にLGBTに属すると思われる人たちに正面から語らせるCMも見かける。まっすぐで切実なんだろうけどやはりちょっと重い。作品としてもまたLGBTという課題を扱う手並みの見事さという点でもユニクロのCMの方がはるかに優れているように思われる。重く語れば人の心に響くかと言えば必ずしもそうではない。逆に軽やかな語り口でごく自然に人の心の中に何かを忍び込ませる方が有効という場合もありうる。偏見に抗いたいという意図があるなら尚更だしそういう意図がないにしてもそのさりげなさが作品を受け入れやすいものにすると思う。
 でも今日の本題はそれではなくて、つかいつもの通り本題なんて特にないんだけどそのユニクロのBGMが桑田佳祐さんの「遠い街角」だということに触れたかった。このCMの軽やかな印象をつくり出すのに明らかに一役買っている。個人的にはとてもよく聴いた覚えのある曲だ。でもいつどこでそんなに聴いていたのかがわからない。桑田さんのベスト「フロム イエスタデイ」に入ってたかと思ってCDを取り出してみると収録されてない。検索すると見たことも聞いた(聴いた)こともないアルバムに入ってるみたいだ。さらに図書館で検索するとヒットしたのでリクエスト。誰にも借りられてないみたいなので割とすぐに手に入ると思う。うれしいけどいつどこでそんなにしっかり聴き込んだのかという疑問はもう解けることがないかも知れない。年をとるとどうしてもそういうことをはっきりさせたくなるみたいだ。それで自分史とか書きたくなるのかな。さすがにそれはしたいとは思わないけど。