指栞(ゆびしおり)

すまじきものは宮仕え。

手に入るもの、手に入らないもの。

 すごくマニアックな話ですいません。
 特に調べもしないで書くと「あしたのジョー」というマンガは二回テレビシリーズ化されていて初めのタイトルが「あしたのジョー」二回目のタイトルが「あしたのジョー2」となっている。お話はもしかしたら重複する部分があるのかも知れないけどおおよそ前者が力石徹が死ぬまで後者がそれ以降となってると思う。ふたつのシリーズを見比べてすぐにわかることは前者がアニメなのに劇画調の作画であることそして後者がものすごく洗練された作画であることだ。僕は前者があまり好きではない。不必要に太い線で描かれたキャラクターたちでこう言ってよければ原作に忠実なんじゃないかと思う(本当は遅れてきたジョーファンなので原作なんか一度も読んだことがなくてわからない。)けどそれがアニメにふさわしいかどうかは意見が分かれる気がする。監督はいずれも出崎統さん、作画監督はいずれも杉野昭夫さんだけど二作はもう全然違う。ジョー2は本当に美しい。しかもそのクオリティーをシーズンの最後まで維持してるのも見事だと思う。それと音楽。ジョーの主題歌は尾藤イサオさんの「あしたはどっちだ」で終わるおなじみの曲で時代を反映してかスポ根もの典型の暗さと重さを備えている。2は放映期間の途中で主題歌が替わっていて前半はスポ根ものをやや引きずっていたけど後半はもうまったく異なったおそらくゴスペルみたいな曲想でつくられた聴いたことのないほど新鮮な曲ですばらしかった。荒木一郎さん作。これがジョーとジョー2の違いを象徴している。
タイムアウトなので以下明日に引き継ぎます。)

(と思ったんですが、日付を替えると読みづらくなりそうなのでこのまま続けて書きます。)
 この作画のスタイルにはスポ根は似合わない。もっとずっとおしゃれな音楽が必要だ。BGMもそうだしオープニングもエンディングもそうあるべきだ。ジョー2の後半のオープニングはタイトルからして「Midnight Blues」ですごくおしゃれでかっこいい。エンディングは「果てしなき闇の彼方に」でこれは前半からこの曲だったんだけどおぼたけしさんという方が歌っていたのを途中から荒木一郎さんのボーカルに替えたのと共にアレンジも替わってよりおしゃれ感が増した。制作側の意図を勝手に想像するとジョーの続編をつくるということで周囲(スポンサー?)を納得させるために初めはスポ根色を完全に拭うことはできなかったんだけど元々ジョーとは全く異なるジョー2という新たなコンセプトを実現したかったので作画も非常に丁寧で原画を思わせる静止画を多用したりして美しい画面づくりを続けていた。それが改変期か何かで主題歌を替えてよいということになったとき当初から思い描いていたジョー2のコンセプトにより忠実な曲を選んだということなんじゃないかと思う。少なくともそんな事態を考えると個人的には納得が行く。
 僕はおぼたけしさんのオープニングもエンディングも割に好きだったけど荒木一郎さんの二曲はそれらを上回って気に入っていた。今でもすばらしい名曲だと思う。調べると荒木さんご自身もそうお考えだったようで自選のベストに二曲とも収録されている。以前ジョー2のレコードを持ってたことは前に書いた通りだけどまた聴きたいなと思って図書館で調べたら「東京ムービー アンソロジー」というアルバムに収録されてるとわかって借りてみた。するとフルコーラスではなくテレビで放映されたときの長さのバージョンが入ってた。もちろんそれはそれでいいんだけどフルのバージョンが聴きたい。もう一枚ジョー2のサントラというのも見つかったんだけどそれにはおぼたけしさんの二曲しか収録されていず僕がレコードで持ってたものとは異なる編集のようだ。それで前述の自選ベストをアマゾンで試聴してみた。すると「Midnight Blues」はオープニングで使われてたのと同じもののようにきこえるけど「果てしなき闇の彼方で」はどうもアレンジが異なってる気がする。荒木さんの歌い方、間の取り方なんかも違うみたいだ。もう一回確かめてみてOKだと思ったら前者はダウンロードで買おうかと思う。でももしかすると「果てしなき闇の彼方で」のテレビ版のフルコーラスのものはもう手に入らないのかも知れない。だとするととても残念だ。四十年近くほっといて今更なんだけど。